2010年07月30日

ロック温故知新−日仏プログレ対決(4) MAGMA マグマ

Atthakフランスのプログレといえば外せないのがマグマ Magma。ちょうど今週末、夏の音楽の祭典 FUJI ROCK に出演する。それに合わせて記事を書いていたら、フジロックが始まってしまい、さらにマグマの演奏開始まであと1時間に迫っている。

リーダーのクリスチャン・ヴァンデ Christian Vander がマグマを結成したのは、ジョン・コルトレーンが亡くなった2年後の1969年だった。コルトレーンの死はクリスチャンによると人生の中で最も大きなショックだった。コルトレーンのあとでジャズは不可能と考え、クリスチャンは独自の音楽を創出することを決意する。もっともクリスチャンのドラムはコルトレーンのドラマーだったエルヴィン・ジョーンズの強い影響下にあり続けるわけだが。音楽全体の影響に関しては、ストラヴィンスキー、ソウル、現代音楽、フリージャズ、オペラ。ロックの分野では、ソフト・マシーン、フランク・ザッパ、ヘンリー・カウなどが挙げられる。プッチーニの「トゥーラン・ドット」なんかを聴いているとマグマに聞こえることがあるが、ジャズとロックとコーラスを融合させたマグマの音楽はズール zeuhl と呼ばれ、ひとつのスタイルを確立しているほどオリジナルなものだ。



私がマグマにハマっていた時期はマグマの活動休止(1983年)の直前だったが、当時は来日公演どころか、ライブ映像を見ることさえかなわぬ夢だった。今や初期のレア映像が youtube にもたくさんアップされている。今見ると怪しげな新興宗教の集会にしか見えないが、不思議な響きを放つマグマの歌は(ドイツ語かスラブ系言語のように聞こえる)、彼らが考案した想像上の言語、コバイア語によって歌われている。彼らはコバイア星からやってきたコバイア星人で、コバイア語によってコバイア神話を歌い継ぐ。これも70年代のサイケカルチャーの産物と言えるが、ヒッピーのような奔放さやトリップ感はなく、あのロゴとともにむしろ強迫的でファッショな印象を受ける。まあ、ここまで奇妙奇天烈さや変態ぶりを徹底できるのはフランスならでは。マグマは初期3部作が傑作として知られているが、個人的に好きなのはグナーに引けをとらない映画「トリスタンとイゾルデ」のサントラ
(マグマではなくヴァンデ名義によるアルバム)。ドラム、ベース、ピアノ、ボーカルというマグマのミニマム構成だが、徐々に高まっていくテンションに引き込まれていく。

□動画はParis 1977 - De Futura, ツインドラム編成
Magma Discorama, French TV, June 29th 1970(これも黎明期の貴重映像)
□上のアルバムは"Atthak"で、ファンク色が強い。ジャケットのデザインは H.R.ギーガーによる。

マグマは1996年に活動を再開したが、近年はいっそう精力的だ。去年は約5年ぶりとなるスタジオ・アルバム『エメンテト・レ(Emehntehtt-Re)』を発表し、去年の5月には来日公演を果たしている。そして今年のフジロックだ。1998年の初来日のときには「マグマを見に行きました」という学生がいて驚いたが、今も若い世代によってプログレの定番として昔の作品も聴き継がれているのだろう。

ところで、日本のマグマと言えば、ドラマーの吉田達也の Ruins だろうか。ベース&ドラムによる二人マグマ。吉田は Fool’s Mate の編集長だった北村昌士の YBO2 のメンバーとしても知られているが、この2つのバンドは平行してよく聴いた。Ruins の音はハイテンションで荒々しい演奏が特徴的。マグマとは全く別のオリジナリティーを持つが、吉田のオペラチックなヴォ−カルがマグマを連想させる。吉田にはもうひとつズール系のプロジェクト、高円寺百景がある。youtube に Rock In Oppositon 09 (この企画まだやってんだ)に出演したときのライブの模様がアップされている。



cyberbloom

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ラベル:magma マグマ
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2010年07月26日

7月の一曲“Silky Soul” Maze featuring Frankie Beverly

灼熱かどしゃ降りか、たった2つしかないお天気メニューにうんざりのこの頃、気持ちだけでも爽やかにしてくれる曲を選んでみました。
 
Silky Soul日本ではなぜか知名度が低いのですが、アメリカでは長年にわたり根強い人気を誇るグループ、メイズが故マーヴィン・ゲイに捧げた曲。まさにタイトル通りの歌声と音楽、スマイルで短い生を駆け抜けたマーヴィンの魅力を数分間に凝縮してしまいました。トリビュートした相手が思わずにっこりしてしまうような、お見事な仕上がりです。歌詞はもちろん、マーヴィン・ゲイの代表曲の一番おいしいところを巧みに組み合わせ、「これぞマーヴィン!」なサウンドを響かせているところも魅力ですが、ヴォーカル、フランキー・ビヴァリーの、パッションを秘めたこれまたスムースな歌がこの曲を単なるトリビュート以上のものにしています。売り出し中のグループの飛躍に一肌脱いでくれたマーヴィン・ゲイへのパーソナルな思いもこの曲の原動力になっているようですが、ヴォーカリストの持ち味であるしなやかな真摯さが効いています。
 
何より、マーヴィン・ゲイへのトリビュート・ソングと知らなくてもSilky Soulの何たるかを堪能できる一曲です。滞留した暑い空気をキモチだけでも爽やかに変えてくれます。日差しが落ち着き夜がやってくるころに、冷たい飲み物といっしょにどうぞ。

You Tubeにはオリジナルの足下にも及ばないカバーヴァージョンしかないのですが、どんなメロディか、オリジナルを手に入れる前に試してみたい方はどうぞ。

http://www.youtube.com/watch?v=JvoJXlvuJ74




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2010年07月22日

松井大輔のフランス語 Daisuke parle français

サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会での日本代表チームの活躍に大きく貢献したMF松井大輔(グルノーブル)が22日、フランスへ出発した。

松井はフランス以外のチームに移籍してしまいそうな状況(※23日早朝のニュースではポルトガルの強豪スポルティング・リスボンに複数年契約で完全移籍することが決定的となったと)。せっかくフランス語がうまいのにもったいない。これで「フランス語を話す松井」が見納めになってしまうかもしれないので、2つの動画を紹介しておくことにする。ひとつはグルノーブルの HP に4月にアップされた松井のインタビュー。

グルノーブルHPより、松井大輔インタビュー

もうひとつはダバディとのインタビュー。こちらは「サッカー選手の語学」と題して、小野、中田、本田らの動画の詰め合わせ。松井は1分34秒から。



松井はグルノーブルのインタビューでチームメートのコミュニケーションの中でフランス語を覚えたと言っている。発音がいいのは耳=音から入ったからなのだろう。

松井争奪戦にスポルティング・リスボンが電撃参戦
■ポルトガル1部リーグの名門、スポルティング・リスボンが日本代表MF松井大輔(29)=グルノーブル=の獲得に乗り出したことが21日、分かった。クラブ関係者が明かしたもので、今月に入り、松井獲得の動きが本格化。スペイン1部のラコルーニャ、フランス1部のバレンシエンヌなどが繰り広げる争奪戦に 電撃参戦した。クラブ側は南アフリカW杯での活躍を高く評価しており、一気に契約がまとまる可能性も出てきた。
■ポルトガルの名門が、松井の獲得に本腰を入れ始めた。スポルティング・リスボンのクラブ関係者によると、南アフリカW杯で16強に進出した日本代表に着 目し、数選手をリストアップ。中でも「攻撃的な選手が欲しい」と前線のポジションを中心に補強選手を検討した結果、右ウイングとして攻撃の起点となった松 井に白羽の矢を立てた。今月に入り、獲得の動きが本格化し、グルノーブル側にも獲得オファーを出した模様だ。
■松井の評価はW杯をきっかけとして急上昇中だ。バレンシエンヌ(フランス)が早くから獲得に動く中、ラコルーニャ(スペイン)、モナコ(フランス)、 1FCケルン(ドイツ)、ブレシア(イタリア)などが続々と参戦。水面下で交渉を行ってきた。ラコルーニャ幹部はスポーツ報知の取材に「2、3日でいいニュースを発表できる」と自信を見せていたが、スポルティング・リスボンが電撃参戦したことで状況が一変した。
(7月22日、スポーツ報知)


cyberbloom

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2010年07月18日

映画『ノルウェイの森』の特報&ビートルズの原曲の使用許可

ザ・ビートルズ「ノルウェーの森」が映画『ノルウェイの森』の主題歌に



■12月11日から全国ロードショーとなる映画『ノルウェイの森』の主題歌に、ザ・ビートルズの「ノルウェーの森」が使用されることとなった。全世界に配給される日本映画でザ・ビートルズのオリジナル楽曲が主題歌に使用されるのは世界初のことだ。
■映画『ノルウェイの森』の原作はもちろん村上春樹の同名小説。1987年の刊行以来、国内発行総累計部数1000万部(2010年5月現在)を突破、現在までに36言語に翻訳され世界中で愛読されている作品である。
■今まで映像化困難といわれ続けていた『ノルウェイの森』は、主人公ワタナベの喪失と再生を描いた恋愛物語だが、映画の中でもザ・ビートルズの「ノルウェーの森」は登場人物の弾き語りなどでも登場しており、タイトルの元ともなっただけに両作品は切っても切れない関係にある。
■しかし、映画でザ・ビートルズのオリジナル曲の使用許可を得ることは非常に難しく、当初は、主題歌には「ノルウェーの森」のカヴァーを検討していたという。しかしながら、ザ・ビートルズのオリジナル曲を仮あてした編集を見た監督は、「やはりザ・ビートルズのオリジナル以外にはあり得ない」という思いが高まってしまったのだという。
■「ザ・ビートルズ演奏によるオリジナル曲の使用がこの作品には不可欠だ」という監督・プロデューサーの思いから、実に1年以上の交渉を経て、ようやく使用許可を獲得したのが、今回の主題歌起用の顛末だ。このかつて例のない画期的な出来事に、EMIミュージック・ジャパンのザ・ビートルズ担当者も驚きを隠せないようだ。
■「1999年にザ・ビートルズの制作担当になって以来、さまざまなザ・ビートルズ楽曲使用に関するオファーをいただきましたが、実現したことも、実現に近付いたことさえもなかったので、今回の主題歌使用に許諾が出たことは、正直大変驚きました。楽曲使用の交渉を始めた時点で、(本国)EMI UKの担当者は既に原作を読んでいたようで、“「ノルウェイの森」は素晴らしい作品だ”とコメントしていたので、村上春樹さん、そして彼の小説の素晴らしさがイギリスでも知られているのだと思ったのを記憶しています。楽曲使用の許諾にもきっと大きな影響があったのではないでしょうか」。現在映画『ノルウェイの森』は、2009年2月の撮影、6〜8月の撮影を経て、仕上げ作業の真っ最中にあるという。
(7月15日、BARKS)

□その他の情報
http://www.youtube.com/watch?v=xK84Qkha0g0


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2010年07月03日

「ジャジーなハスキーヴォイス求む」――ZAZ(ザーズ)

Zaz CDジャケットだけを見て、てっきり「お子様ラップ」か「お子様R&B」のどちらかだろうと思って無視していたが、聴いてみると思っていた音楽とはまったくちがっていた。たまたまyoutubeでJe veux(「ほしい」)のヴィデオクリップを見たのだが、「シャンソン + マヌーシュ・ジャズ」といった感じの名曲で、ハスキーな声の魅力と、スウィング感あふれる圧倒的な歌唱力に快い驚きを感じた。

 今年(2010年)5月に出たファーストアルバムが発売一ヶ月ほどでフランス国内チャートのトップに上りつめ、一躍時の人となったザーズZAZ(本名イザベル・ジェフロワIsabelle Geffroy)。ジャケットの写真はずいぶん子どもっぽく見えるが、1980年生まれの30歳(トゥール出身)。20歳の頃から音楽活動をしていたというから、芽が出るまでにはけっこう時間がかかっている。この間、歌う機会さえあれば世界中のどこへでも出かけていって、歌っていたらしい(カナダ、モロッコ、コロンビア、エジプト、シベリア、はたまた日本まで)。パワフルな人である。2006年以降は本拠をパリに置き、おもにキャバレーやモンマルトルの路上(!)で活動を続けていた。2007年、音楽プロデューサ&ソングライターのKerredine Soltani(ケルディヌ・ソルタニ?)が出した「ジャジーでハスキーな声の新人女性アーティスト求む」という広告に応募したことがきっかけで、彼が主催するPlay Onレーベルからファーストアルバムを出すことになる。

 このファーストアルバム、とてもいいですよ。元気だし、とにかくうまいし、でもそのうまさがイヤミに感じられるところまでは行かず、ほどよい具合に雑だし。いろんなタイプの曲が入っているが、一番良いのはやはりマヌーシュ(ジプシー)・ジャズ風の何曲か(Les passants, Je veux, Prends garde à ta langue, Ni oui Ni non...)。あと、エディット・ピアフの名曲のカヴァーDans ma rueも出色の出来(個人的にはピアフよりいいと思う)。フォーク調の曲とか、ロックンロールとか他にもいろんなタイプの曲が入っているが、あまりいろんな方向に色目を使わず、ジャズ一本でど〜んと構えて活動した方が良いように思う。あと、彼女の歌を聴く人のほとんどはピアフを思い出すだろうし、本人も意識していないはずはないが、いずれひとりのアーティストとしてピアフの呪縛から自らを解き放たなければならない日が来るだろう。それがうまくいくかどうかが少々心配だ。



◆ZAZのプロフィルについては
http://fr.wikipedia.org/wiki/ZAZ_(chanteuse)
http://www.idolesmag.com/interview-34-Zaz.html
を参考にした。


MANCHOT AUBERGINE

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posted by MANCHOT AUBERGINE at 22:55| パリ ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | いろんなふらんす―音楽を中心に | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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