□『とうとうロボが来た! 』Q.B.B.
最近は『孤独のグルメ』の遅まきブレイクで一躍知名度アップな久住昌之氏が、弟卓也氏と組んだ兄弟マンガユニット、Q.B.Bの出世作。少し昔の小学生、犬が飼いたくてたまらない新吉君の日常生活が爆笑4コマ形式で描かれています。このマンガは、小学生であったころに五感で感じた、言葉にできない「あの」感じを生き生きと呼び覚ましてくれます。いつまでも終わらない風だった、長くて暑い夏の日、プールの帰りの寄り道のけだるい時間のながれ。あの頃の記憶が、手持ちぶたさな時の手遊びや仕草、噛みすぎて味のなくなったガムだとか、さりげない描写を通じてまさに皮膚感覚で蘇ります。(例えば、体育座りの姿勢で内股をぱたんぱたんさせたりしませんでした?そんなツボをこのマンガはびしびしついてくるんです。)単なる懐かしさ以上の、不思議な感覚を味わえます。『孤独のグルメ』でもおなじみ、兄久住氏のセンスの良い「細かさ」のなせるわざなんですが、弟久住氏のゆるーいタッチの絵も多いに貢献しています。
また、オトナが手がける以上仕方のない事ですが、コドモの世界=イノセンスでポジティブで素晴らしい、という見方がきれいにナイところもあっぱれ。オトナには謎なコドモじみた論理も、あほらしさも、いい悪いなくそのまま伝えています。オトナが「なんでそんなしょうもないことで泣いたりするの」とあきれ顔をする場面でも、コドモにはコドモの理屈があるんですよね。わかってもらえない焦燥感も、これまた身体レベルであますところなく書き込まれているのがウレシイ。もちろん男子小学生ライフにはお約束の下ネタも満載。イノセンス幻想や甘いノスタルジアを求める人にはちょっと向いていないかも。ただ読了後の幸せな感じはお約束します。
はまったら、同じユニットの他の作品もどうぞ。「人生で一番ダサイ季節」を描ききった姉妹編4コママンガ『中学生日記』もおすすめです。
※もともと青林堂から出版されていましたが、幻冬舎からも文庫として出ています。こちらの方が入手しやすいのでは。
□『エスプリとユーモア』河盛 好蔵 岩波書店
文化=親の本棚、だった子供の頃偶然であった一冊。標題に掲げられたテーマを、フランス文学者・文筆家としてしられた御大が、豊かな見識とひょうひょうとした語り口で解き明かす名著ですが、この本を推す理由は、実は本文ではなくおまけとして添えられた小文、「あるユモリストの話」にあります。ベルエポックの頃に活躍、ムーラン・ルージュの踊り子を追っかけ回す青春時代を経て、フランス庶民のお腹をよじらせる事に人生を捧げ、死後綺麗さっぱり忘れ去られた後アンドレ・ブルトン等に見いだされた作家、アルフォンス・アレ。ユニークなその仕事と人生について、作者は程よい距離をたもちつつも限りない愛情と敬意を込めていきいきと描いています。アレの小粋な肖像も掲載されていますが、線であっさりまとめた絵とこのこじんまりとした評伝、簡潔だけれども見事に対象を捉え、互いに響き合っているかのようです。
この小品はまた、アレという一フランス人の人生を辿ることで、はからずもフランスという国の文化の芳醇さをもさりげなく伝えてくれます。コドモ時代の寝そべりながらの読書では、出てくる固有名詞はチンプンカンプンながら、今自分がいる畳の部屋とは時間も距離もかけ離れた、オンフール生まれの“アルフィ”がいた世界に胸をときめかせたものです。初めて嗅いだ赤ワインの香り、といったぐあいでしょうか。オトナのみなさまにはその芳醇さ、馥郁たる香りがもっと堪能できるのでは。
先頃岩波新書復刊フェアの一冊として再び本屋で手に入るようになりました。この評伝のためだけでも、買い、の一冊です。
GOYAAKOD@ファション通信NY-PARIS
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まさに昨日うちで繰り広げられた光景そのものやん!
背中にかじりついて来る子泣きじじいのような豚児...
「おぼいっ(重い)!!降りろ!!」「あじ(暑い)ー!!」と
叫ぶ母...
畳に振り落とされ「暴れ馬ー!」と(なぜか)喜ぶ豚児...
最近独特のヒネ方が始まり、早くも、徐々に謎となってきつつある6歳児の心理がちょっとだけわかりました。
最近彼が大ハマリの宇宙戦艦ヤマトのことを描いたページを真っ先に見つけて大コーフンしてたのもウケた。