クリスマス、といっても、無宗教いいかげんの身としては、巷に流れるそれ用の音楽を全身に浴び続けて(ジョン・レノンの例の曲がかかるたびに後ろめたい、疾しい気持ちになり)その日が過ぎるのをやり過ごす、というのが常。とっておきのクリスマスソング、隠れた名曲のストックは、残念ながらありません。ただ、この季節にDonny Hathawayの”This Christmas”を聞くと、クリスマスが本当の意味で特別な日である文化圏の人々がこの日に寄せる思いをおすそわけしてもらった気分になります。たいていのクリスマスソングはぬくぬくとした暖かさを演出・強調するきらいがありますが、この曲は「寒いんだけど楽しい!」という不思議な高揚を感じさせてくれるように思います。絶妙なアレンジの為せる技でしょうか。Donny Hathawayの音楽はmy type of musicと言い難いところがあるのですが、このクリスマスの歌だけは別。ベスト盤に収録されていますし、最近はどこでもあちこちでかかってます。□This Christmas / Donny Hathaway
そして、クリスマスとは直接関係ないけれど、ちょっと触れておきたいのが吾妻光良とThe Swinging Boppersの『おもて寒いよね (Baby, It's Cold Outside)』。アメリカのスタンダード・デュエットナンバーの翻案(日本語で歌ってます)で、原曲は今スタバでクリスマス・シーズンのミューザックとしてかかりまくっており、耳障りのよい昔の歌と認知されていることと思います。今回ご紹介する翻案バージョンは、原曲の明るくインティメイトな雰囲気を大事にしつつ(「帰る/今夜は帰さない」を巡る彼と彼女の攻防戦がテーマ)、くすぐりのツボを50%増量!特に引き止めようとやっきになる彼のかわいさアホらしさは、リーダー吾妻氏のだみ声の味わいと相まって、絶妙です。思わず吹き出しそうになるわ、気持ちも温かくなるわ、いいことずくめの冬のお楽しみ。アルバム『Squeezin' & Blowin'』に収録されています。□Baby, It's Cold Outside / Margaret Whiting & Johnny Mercer
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