2009年03月17日

新作映画情報「チェンジリング」

changeling.jpg昨年カンヌ映画祭のコンペティション作品に選ばれたクリント・イーストウッド監督の「チェンジリング」を観ました。


1920年代のアメリカ。シングルマザーとして電話会社で働くクリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)が、ある日仕事から帰ってくると息子のウォルターがおらず、母親の懸命の捜索にもかかわらず数ヶ月行方不明だった。ある日警察からウォルターが見つかったとの知らせが入り、喜び勇んでクリスティンが駅へ迎えに行くと、そこに現れたのは息子とは別人の少年だった。彼は息子ではないと彼女は再三訴えるが、警察は全く取り合わない・・


無理がありすぎ、と思えるこの物語が実話である、というのですから驚きです。無駄のない冷静な語り口で、当時の警察の権威主義や腐敗が徐々に暴かれていくさまはさすがイーストウッド!という感じで、「許されざる者」や「硫黄島からの手紙」でのように、「正義の味方=善」だとか「敵=悪」というような固定化されがちなイメージを打破しつつ、ものごとを客観的に見つめる姿勢は今回も変わりません。しかし、この映画は単なる社会派ものというわけではなく、子供の失踪事件がやがて別の大きな事件へと繋がっていき、思いもよらぬ結末へと至るサスペンス映画でもあり、一級の娯楽作品として成立しています。


changeling01.jpg暗めの色調のざらりとした画面に、20年代の風景が映し出され、そこへ細身のアンジェリーナがこれまたほっそりした素敵なデザインの20年代ファッションを着こなして登場すると惚れ惚れしますが、ここでの彼女は決して「美しいセレブ女優」として撮られているわけではありません。彼女の気の強そうな大きな目は目深にかぶった帽子の下に隠され、遠目ではすぐには誰かわからないくらいです。


逆に彼女のもうひとつの特徴である厚い唇は真っ赤なルージュで強調されていて実に表情豊かです。ウォルターにキスする唇、不安や驚きであっと開かれた唇、子供の手がかりを求めて終始受話器に寄せる唇、そして「私の息子ではない!」と低いながらも強い声で叫ぶ唇・・・言葉を発する発さないにかかわらず(クリスティンは決して「おしゃべり」ではありません)彼女の唇は常に何かを語っています。


そしてその「何か」とは、必ず自分の息子に関わることです。クリスティンは警察の過ちや虐げられている女性たちのために行動を起こしますが、もともとそれはただ息子を見つけたいがためで、いつ何時でもウォルターのことを忘れることはありません。支援する人々が(神父さんですら)あきらめの態度を見せても、彼女だけは息子の生存を信じています。そのような意志の強さと愛情の深さを備えた母親役は、日頃から子供たちに対する関心の高いアンジェリーナ・ジョリーにはまさに適役でした。


changeling03.jpgクリスティンを支援するブリーグレブ神父役のジョン・マルコヴィッチは、警察の不正を明るみにすることにやっきになる姿が神父に見えないし、これまでの役柄のイメージが強すぎてうさんくさく見えてしまいました。一方でその他の脇役は、主にテレビで活動する俳優が多かったようですが、なかなかよいキャスティングだったように思います。特に後半から登場するゴードン・ノースコットを演じたジェイソン・バトラー・ハーナーの天真爛漫な表情と澄んだ瞳(最初に登場する場面の爽やかなこと)は、物語の顛末を知った後では深く複雑な印象を残しました。


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