2009年05月26日

カンヌ映画祭受賞結果

第62回カンヌ映画祭の授賞式が24日の日曜日に行われました。プレスの間では、ジャック・オディアール監督の Un prophète、ケン・ローチ監督の Looking for Eric 、エリア・スレイマン監督の The Time that remains などが高評価を得ていましたが、主な賞は以下の通りとなりました。


cannes09michael.jpgカメラ・ドール(新人監督賞):Samson and Delilah(ワーウィック・ソーントン)
さらに特別賞として:Ajami(Scandar Copti)

特別功労賞:Les Herbes Folles (アラン・レネ)

高等技術院・技術賞:録音技術アイトール・ベルンゲル
(作品:Map of the sounds of Tokyo (Carte des sons de Tokyo)/イザベル・コイシェ)

審査員特別賞: Fish Tank(アンドレア・アーノルド)
        Bak-Jwi(Thirst, ceci est mon sang..)(パク・チャヌク)

最優秀脚本賞:メイ・ファン(作品:Chun Feng Chen Zui De Ye Wan (Nuits d'ivresse pritanière)/ロウ・イエ)

最優秀監督賞:ブリリャンテ・メンドーサ(作品:Kinatay)

最優秀男優賞 : クリストフ・ワルツ(作品:Inglourious Basterds /クエンティン・タランティーノ)

cannes09charlotte.jpg最優秀女優賞:シャルロット・ゲンズブール(作品:Antichrist/ラース・フォン・トリアー)

グラン・プリ:Un prophète (ジャック・オディアール)

パルム・ドール:Das Weisse Band (Le ruban blanc)(ミヒャエル・ハネケ)


今回は、各賞がまんべんなく振り分けられた感がありますが、意欲的な内容に挑んだ作品が選ばれているようです。ロウ・イエ(中国)、パク・チャヌク(韓国)、ブリリャンテ・メンドーサ(フィリピン)とアジアの監督の作品も多く選ばれています。

グラン・プリとパルム・ドールは妥当な線でしょうか。「リード・マイ・リップス」や「真夜中のピアニスト」で知られるジャック・オディアール監督の Un prophète(預言者)は、若くして刑務所に入れられた青年が、読み書きも出来ない身から次第にのし上がっていく物語で、2時間半近くある大作。緊張感たっぷりのスリラーで力強さもあると批評家筋は褒めまくりで、主演の Tahar Rahim も好評です。

パルム・ドールの Das Weisse Band (Le ruban blanc 白いリボン)は、かつて今回の審査委員長イザベル・ユペール主演による「ピアニスト」でグラン・プリと女優・男優賞を受賞したミヒャエル・ハネケ監督の作品です。1913年のドイツのとあるプロテスタントの男子校に起こった奇妙な事件とそれを機に次第に変わっていく学校の姿を描いたもので、モノクロの映像が美しい作品です。この作品はパルム・ドールのほか、批評家連盟賞など複数の賞を獲得しており、最高賞受賞も納得の結果でしょうか。

最優秀男優賞は、タランティーノの戦争映画 Inglorious basterds(地獄のバスタード)で主演のブラッド・ピットを差し置いて、ナチの大佐を演じたクリストフ・ワルツが受賞。第二次世界大戦における復讐劇で、監督曰く「戦争ものとマカロニ・ウェスタンを融合させたアクション映画」だそうで、上映後の会場も大喝采でとても盛り上がっていました。公開が待ち遠しいですね。

最優秀女優賞は、ラース・フォン・トリアー監督の Antichrist (アンチ・キリスト)に主演したシャルロット・ゲンズブールへ。激しい性描写が物議を醸したこの映画。俳優たちを精神的に追い込むことが多いこの監督の作品に、あのか弱そうなシャルロットが出演すると聞いて絶えられるのだろうかと心配でしたが、夫イヴァン・アタルに見守られて舞台に上がった彼女はいつもどおりもの静かな調子で喜びを語り、ああ彼女も芯の強い大人の女優になったものだなあとしみじみしてしまいました。
「『アンチ・キリスト』のような映画を大胆にも選んでくれたカンヌに感謝しています・・・ラースは私がこれまで知る中で最も強烈で、最も辛く、最もエキサイティングな経験をさせてくれました。父(セルジュ・ゲンズブール)はきっと私を誇りに思うと同時にショックを受けたことでしょう」という彼女の言葉のなかにもこの映画の壮絶さがうかがえます。

cannes09Resnais.jpg授賞式のクライマックスは特別功労賞にアラン・レネ監督が選ばれたときです。ヌーヴェル・ヴァーグの時代から現在に至るまで独自のスタイルを追求してきた、86歳のこの監督が登場すると、会場ではスタンディング・オベーションが。今回の作品 Les herbes folles は、クリスチャン・ガイイの小説 L'incident を映画化したもので、「小説にはおかしな要素はないのに、映画になったらどこかユーモラスになった」のだそう。出演した女優が「私、監督に恋してしまったの。結婚したいわ!」と語ったくらいですから、人としても大変魅力的なのでしょう。


さて、パルム・ドールに便乗して各メディアがいろいろ賞を発表しますが、以前にも触れたパルム・ドッグ(最も印象的だった犬に与えられる賞)は、オープニング上映されたディズニー&ピクサーによる「カールじいさんの空飛ぶ家」に登場する犬 Dug で、アニメーションの犬としては2匹目の受賞だとか。


それから Comme au Cinéma. com が独自に選んだ各賞が面白かったので少しご紹介しましょう。パルム・ドール( Un prophète )やグラン・プリ( Étreintes Brisées (壊れた抱擁)/ペドロ・アルモドバル)といった真面目な賞がある一方で、こんな賞もありました。

Le prix de la coupe de cheveux la plus bizarre : Vincent Cassel vole la vedette à notre Pedro Almodovar préféré. L’acteur s’est pointé sur la Croisette la tête et les sourcils rasés.
(最もヘンな髪型賞:ヴァンサン・カッセルがみんなの大好きなペドロ・アルモドバルから主役の座を奪ってしまった。頭も眉毛も剃り落としてクロワゼット通りに現れたものだから)

Le prix de l’acteur le plus timide sur les tapis rouges : Ben Whishaw, pourtant si lumineux dans Bright Star.
(レッド・カーペットで最も恥ずかしがりやさんだったで賞:ベン・ウィショー、だけど出演した映画「ブライト・スター」(ジェーン・カンピオン監督)ではピカイチ)

Le prix du film qui fait mal aux yeux : Soudain Le Vide… on a encore mal.
(最も目にイタかったで賞:「エンター・ザ・ヴォイド」(ギャスパー・ノエ監督)・・まだイタいし)

Le film qui empêche de dormir : Antichrist. A-t-on encore besoin de vous expliquer pourquoi ?
(眠れなかったで賞:「アンチ・キリスト」。まだ理由を説明する必要がある?)

コメントが効いてますね。その他話題作、気になる映画はまた次回に。



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posted by exquise at 20:29| パリ ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | extra ordinary #2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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