2009年08月28日

沈みゆく日本(だと?)――いったんマニフェストと距離をおいて選挙を眺めてみる

Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2009年 9/2号 [雑誌]今週末30日にいよいよ総選挙の投票がおこなわれることになり、ぼくも各党のマニフェストを眺めながらどこの政党に入れるべきかと吟味中…、であるのはたしかなのですが、このマニフェストとやらにいいたいことがあります。まず政党間で、「あんたの党の政策には財源の裏打ちがない。国民にどう説明するんだ!」などと非難合戦をしていますが、与野党を問わず、そもそも各党政策の財源の問題は一般国民になどまったくわかるわけがないということです。もっといえば、たとえば使える国家予算のうち、

自民党:子育て教育10%、年金制度5%、…、
民主党:…、
公明党:…、

とでもやってくれないものかと。もちろん予算投入量だけで価値をはかれない政策決定の問題もあるのでしょうが、こうすれば、すくなくともどの政党がどの政策課題にどれだけのお金をつぎ込むつもりなのかはわかるようになるはずです(たとえば国民受けする政策への予算注入が他党に比べてすくない場合に、「我が党はこれこれこういう政策でカヴァーするつもりだ」とアピールでもしてくれるようになったほうが、国民にとってはありがたいんじゃないかな)。

と、各党の政策主張をほんまに信じてええもんかいなと、マニフェスト制度にフラストレーションを感じているさなか、そもそもいったい外国人は今回の選挙をどうみているのか、なにか違った視点でもあるかなと思い、きのう『ニューズウィーク』(日本版2009年9月2日号)を購入してみました。見出しは「沈みゆく日本—成長戦略なき 空っぽのマニフェスト ビジョンなき政権選択で アジアの大国の座を 守り抜けるのか」とあります。

「沈みゆく日本」などとあるので、どれほどボロクソに日本のことを書いているのかと気になりましたが、タイトルに比して論調は控えめで真新しい主張があるわけでもなく、むしろ国際社会(経済)における日本の現状を分析するといった感がありました(記事タイトルは「針路 成長戦略なき中堅国家ニッポン」「政治 小泉はいかに自民党を殺したか」「視点 やっと訪れたチェンジの季節」「経済 日本よ、キリギリスになれ」)。総選挙直前の号でこういった記事を掲載するというのは、もうすでに選挙の大勢が判明しているのを前提に(?)して、これから日本が直面することになる問題を炙りだすことが目的なのかもしれませんね。

そしてこれらの記事を読んでみて、なるほど「成長戦略なき 空っぽのマニフェスト」というのはいいところをついているんじゃないかと感じられました。上記の記事の内容をおおまかに整理してみると、

1. アジア経済と日本
→急成長を遂げるアジア世界と日本はどのように付き合うべきか

2.外需に頼ってきた日本経済構造の今後の行方
→対応策として、「日本国内の内需拡大」と「アジア域内需要を当てこむ『準内需』開拓」。おなじくこの問題と関連した「少子化対策」など

と列挙してみれば、なるほど最も重要な論点のひとつとなるはずなのにもかかわらず、これらをテーマとした論争はあまりなされていないように思われます。たとえば、ヤフーのこちらのサイトをみてみると、日本の経済外交についてはなにも触れられていません。もちろんこの種の議論がまったくなされていないわけでなく、たとえば「マニフェスト総括「成長戦略」景気拡大2つの道」(読売新聞)のような主張もありますが、結局のところ「…経済力だけが頼りの大国だった日本が世界で勢いを盛り返すには、経済を新たな成長軌道に乗せる必要がある。なのに自民党にせよ民主党にせよ、党幹部たちはこの点についてあまり語ろうとしない」(p19)のはたしかだと思います。これはどの政党のマニフェストにたいしてもいえることですが、マニフェストをみているだけでは各政策がどのように日本経済全体に波及、影響しあうのか、もっといえば「国際社会における日本」という、より具体的な現実に根ざした枠組みのなかでどうするつもりなのかがいまいちはっきりしません。

結局のところ、冒頭で「各党政策の財源の問題は国民になどまったくわかるはずがない」と書きましたが、それはさておき/それ以前に、ある程度の理念(=先行き=見通し)でも用意しておいてもらわないとマニフェストのほとんどが総花的なデタラメにしか感じられず、読めば読むほどそれを受けて結論をだそうとすればするほど、恐ろしい一票を投じてしまうのではないかと不安に苛まれてくるという始末です。この意味では、とある政策が失敗しようが成功しようが(ポシャろうが)、それは結果判断にしか過ぎなくなります。

とはいえ、救い(?)を求めてみるなら、今回の選挙は「新しい」ということでしょうか。長い間、日本人は政権交代がかかった選挙なんてやったことがなく、たとえば自民党は「どうせ自分が勝つんだから…」そして野党は「どうせ負けるんだから…」という考えに慣れてしまい、ぼくら国民もそれに付き合ってきたので、その枠組みの中で自分の立ち位置を決める選挙しかしてこなかったわけです。そのため、自分の入れた政党が立派な政治をしようがポシャろうが、大勢において変わりはないだろうという安心感(?)がありました。ところが今回の選挙はある程度有権者に「責任をかぶせる」、というか選挙民の立場からすると、自分の支持した政党が成功をおさめれば「はは、おれの考えは正しかったのだ」とちょっぴり嬉しくなるでしょうし、ズッコけたりすれば少なくとも内心忸怩たる思いを感じるはずです。結局、不安は不安として残りますが(たぶん投票用紙に書く直前まで、どの政党&候補者に入れるか迷うだろうな…)、こうした「見返り」という意味では今回の選挙は面白いものになるのではないかと思います。

またおなじ意味で、政権交代がかかった選挙なんてはじめてだから、なんだか焦点がぼやけたマニフェストしか出せなかったのかもしれませんが、各政党のみなさん、次回(?!)からはよろしくお願いします…(たとえは悪いかもしれませんが、いい加減なことを書いている「競馬」雑誌なんて絶対売れませんよ…)。次回の選挙でも外国の雑誌に「沈みゆく」なんて書かれませんように。





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posted by cyberbloom at 06:37| パリ ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | SUPER LIGHT REVIEW | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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