2010年02月02日

フランスで弁当ブーム! 

リーマンショックに端を発した今回の金融危機で高級レストラン以上に打撃を受けているのがフランスの街角のビストロだ。2008年の上半期だけで3000以上のビストロが経営破綻した。破綻の数としては過去最多で、その後も件数は増えている。金融機関の貸し渋りだけでなく、材料費の高騰も追い討ちをかけている。フランス人のランチにかける金額も大幅に減り、定番の食後のエスプレッソを削る人も目に見えて増えているという。



フランス人は昼休みを2時間たっぷりとり、ビストロで優雅にランチを食べると言われたものだが、ここ数年、企業がグローバル化の影響を受けたり、金融危機に見舞われたりして、そんなことは許されなくなった。古き良きビストロの倒産は残念だが、グローバル化や金融危機はフランスの外食産業を時代に合った形に変える契機になっているようだ。フランス人が子羊のシチューの代わりに口にするようになったひとつが、マクドナルドだ。フランスにあるマクドナルドは1134店舗。マクドナルドはフランスの食文化に近づこうと、2003年から店舗のインテリアを大幅に変え、メニューにサラダやヨーグルト、一口サイズのスナックを取り入れてきた。2008年にはマクドナルドのフランスでの売り上げが大幅に伸び、過去最高の33億ユーロ(4150億円)を記録したが、その後も店舗を増やす計画を立てている。

マクドナルドの盛況とパラレルに、サンドイッチ・ブームも起こっている。サンドイッチ自体は昔からあるが、03年から08年のあいだにサンドイッチ市場は規模にして28%も拡大。バゲットで作る伝統的なものから、イギリス風の食パンで作る三角形のサンドイッチまでバリエーションは豊かになり、ランチはオフィスで席についたままサンドイッチを食べるという光景も珍しくはない。

mespetitsbento01.jpgさらに新たな庶民の味方が加わった。それは日本生まれの「弁当」である。一昨年あたりからフランスで弁当が流行っていて、雑誌のELLEなんかも弁当特集をやっているという噂はボチボチ耳にしていた。弁当はすでにマンガを通して知られていたようだ。学園マンガでは早弁シーンが定番ですからね。リーマンショック後の不景気で会社員の昼食時間が削られ、さらに昼食代を削るために、節約しつつ早く食べられるということ弁当が普及したようだ。bento もすでにフランス語として定着している。「弁当箱」も注目の対象になっていて、その洗練された機能美が賞賛されている。フランス人の友だちができたら、小じゃれた弁当箱をプレゼントするのもいいかもしれない。

弁当はまさに日本のイメージにぴったりなのだろう。弁当は一種のスノビズムであり、個人の創造性が発揮される盆栽のような小宇宙なのだ。重要なイベントにはおかずを豪華にして、漆器の弁当箱を使うとか、弁当なら栄養のバランスやダイエットやアレルギーにも配慮できるとか、弁当の利点が多面的に紹介されている。とはいえ、弁当は何よりも節約のアイテムであることを忘れてはいけない。弁当が評価されるのは不況が恒常化した時代との親和性にある。弁当のおかずには前の日の残り物や冷蔵庫の余り物をうまく使うべきで、その点にこそ創造力が発揮されるべきなのだ。下に紹介した Bento Blog にはJ'ai plein de restes dans mon congélateur c'est parfait pour un bento ! (私の冷凍庫は残り物がいっぱいで、弁当作りに完璧!)と書かれていて、弁当の本質をきちんと捉えている。

Mes p'tits bento par Audray(フランスのオドレーさんによる弁当ブログ)

上の動画ではフランスの弁当事情が紹介されている。おにぎりも流行のようで、おにぎりの型も売っているようですね。動画で弁当料理教室をしているシェフは「アンチ残り物派」で「弁当は残り物で作るのではない。私は弁当のためにわざわざ買い物をしてフルコース仕立てにする」と言っている。これは日本のやり方とも一致すると言っているが、なんでデザートがマカロンなわけ?そこまで言うなら、使い捨て紙パックではなく弁当箱にいれなきゃ。

ちなみに私が得意な弁当は雉丼弁当。ときどき子供に作ってやります。雉丼と言っても使うのは鶏肉で、ご飯の上に海苔を敷き、鶏肉の照り焼きとダシ巻き卵を載せ、絹サヤを添える。白、黒、茶、黄、緑と、色どりもきれい。タレの染みたご飯も美味しい。「かんたんフレンチレシピ」のmandolineさんに「フレンチ弁当レシピ」をお願いしてみようかな。試食会もついでに(笑)。

フランスで弁当ブーム Boom du Bento en France



cyberbloom

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posted by cyberbloom at 20:13| パリ ☁| Comment(3) | TrackBack(1) | サイバーリテラシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
弁当、いいですよね。少し前にGarr Reynoldsが書いたプレゼンテーテョンの指南書Presentation Zen(日本語訳も出てます)の冒頭で、新幹線で駅弁を食べるひとときは至福で、弁当の効率よさ、おいしさ、美しさに感嘆していました(その一方で、日本のビジネスマンの作る汚いプレゼン資料をしっかり対比させていますが)。僕は台湾在住ですが、帰国して新幹線にのる度にわくわくしながら弁当を買います。
Posted by Isao at 2010年02月02日 21:46
Isaoさん、コメントありがとうございました。
Garr Reynolds の名前は耳にしていたのですが、今関西の大学で教えているんですね。早速、昨夜youtubeにアップされていたGarrのgoogleでの講演を見てみました。弁当の話も出てきました。弁当をひとつのプレゼンととらえるなんて、日本文化をうまく時流に取り込んでいます。今の時代にけるプレゼン=パフォーマンスの重要性を再認識しました。外国で日本文化が評価されているわりには何か今の日本はパッとしないですね。伝統の蓄積が生かされていないってことでしょうか。こういう広がりは嬉しいです。今後ともよろしくお願いします。
Posted by cyberbloom at 2010年02月03日 12:35
金融危機の影響ではありますが、日本の弁当文化がフランスに浸透していることを知り、とても嬉しく思います。弁当文化が全世界に広まればいいなと思いました。
Posted by natsumi at 2012年01月16日 00:52
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