フランス人は昼休みを2時間たっぷりとり、ビストロで優雅にランチを食べると言われたものだが、ここ数年、企業がグローバル化の影響を受けたり、金融危機に見舞われたりして、そんなことは許されなくなった。古き良きビストロの倒産は残念だが、グローバル化や金融危機はフランスの外食産業を時代に合った形に変える契機になっているようだ。フランス人が子羊のシチューの代わりに口にするようになったひとつが、マクドナルドだ。フランスにあるマクドナルドは1134店舗。マクドナルドはフランスの食文化に近づこうと、2003年から店舗のインテリアを大幅に変え、メニューにサラダやヨーグルト、一口サイズのスナックを取り入れてきた。2008年にはマクドナルドのフランスでの売り上げが大幅に伸び、過去最高の33億ユーロ(4150億円)を記録したが、その後も店舗を増やす計画を立てている。
マクドナルドの盛況とパラレルに、サンドイッチ・ブームも起こっている。サンドイッチ自体は昔からあるが、03年から08年のあいだにサンドイッチ市場は規模にして28%も拡大。バゲットで作る伝統的なものから、イギリス風の食パンで作る三角形のサンドイッチまでバリエーションは豊かになり、ランチはオフィスで席についたままサンドイッチを食べるという光景も珍しくはない。

弁当はまさに日本のイメージにぴったりなのだろう。弁当は一種のスノビズムであり、個人の創造性が発揮される盆栽のような小宇宙なのだ。重要なイベントにはおかずを豪華にして、漆器の弁当箱を使うとか、弁当なら栄養のバランスやダイエットやアレルギーにも配慮できるとか、弁当の利点が多面的に紹介されている。とはいえ、弁当は何よりも節約のアイテムであることを忘れてはいけない。弁当が評価されるのは不況が恒常化した時代との親和性にある。弁当のおかずには前の日の残り物や冷蔵庫の余り物をうまく使うべきで、その点にこそ創造力が発揮されるべきなのだ。下に紹介した Bento Blog にはJ'ai plein de restes dans mon congélateur c'est parfait pour un bento ! (私の冷凍庫は残り物がいっぱいで、弁当作りに完璧!)と書かれていて、弁当の本質をきちんと捉えている。
□Mes p'tits bento par Audray(フランスのオドレーさんによる弁当ブログ)
上の動画ではフランスの弁当事情が紹介されている。おにぎりも流行のようで、おにぎりの型も売っているようですね。動画で弁当料理教室をしているシェフは「アンチ残り物派」で「弁当は残り物で作るのではない。私は弁当のためにわざわざ買い物をしてフルコース仕立てにする」と言っている。これは日本のやり方とも一致すると言っているが、なんでデザートがマカロンなわけ?そこまで言うなら、使い捨て紙パックではなく弁当箱にいれなきゃ。
ちなみに私が得意な弁当は雉丼弁当。ときどき子供に作ってやります。雉丼と言っても使うのは鶏肉で、ご飯の上に海苔を敷き、鶏肉の照り焼きとダシ巻き卵を載せ、絹サヤを添える。白、黒、茶、黄、緑と、色どりもきれい。タレの染みたご飯も美味しい。「かんたんフレンチレシピ」のmandolineさんに「フレンチ弁当レシピ」をお願いしてみようかな。試食会もついでに(笑)。
□フランスで弁当ブーム Boom du Bento en France
cyberbloom

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Garr Reynolds の名前は耳にしていたのですが、今関西の大学で教えているんですね。早速、昨夜youtubeにアップされていたGarrのgoogleでの講演を見てみました。弁当の話も出てきました。弁当をひとつのプレゼンととらえるなんて、日本文化をうまく時流に取り込んでいます。今の時代にけるプレゼン=パフォーマンスの重要性を再認識しました。外国で日本文化が評価されているわりには何か今の日本はパッとしないですね。伝統の蓄積が生かされていないってことでしょうか。こういう広がりは嬉しいです。今後ともよろしくお願いします。