2010年04月15日

「政権交代の失敗」 le figaro fr.より

鳩山由紀夫と彼の率いる民主党は、長らく政権にあった自民党を打ち破ることに成功した。けれども半年たったいまとなっては、責任放棄と分裂が目立つばかりである。

新政権ハネムーン(註:新政権が発足してからしばらくの間、メディアなどが政府批判を控えること。日本ではだいたい100日間といわれています)は、民主党にとって長くは続かなかった。去年の9月、1955年以来政権の座にあった自民党を総選挙で打ち破った民主党は歴史を作りあげた。半年がたち、培われた期待は失望にかわった。7月の参院選は、民主党にとって政権を安定させるためにぜひとも勝たねばならないが、見通しは暗い。読売新聞の調査では、次回の選挙で民主党に投票するという有権者は25%にとどまった。

この新与党は、「利益誘導型(註:自民党のこれまでの政治スタンス)」の国家運営をしないと公約していた。そして、2つの改革がこれにもとづいて実行に移された。高校授業料無償化と子ども手当てである。しかし残念ながら、日本政治はすぐさま旧態依然としたその悪癖に出くわすことになった。政権与党の前例にならい、断絶を未然に防ぐための馬鹿げた争いによって政府は分裂してしまっている。

破局をもたらす女

経済面では、(国内)消費による景気刺激策を推奨していたが、次第にそれを諦め、輸出による経済成長の重要性を正式に認めるようになっている。5年前にもちあがった郵政民営化をふたたび取りあげるなど、後戻りさえしている。社会政策については、半年前のマニフェストでは意気揚々であったのにいまは尻すぼみしている。夫婦別姓の法案も可決されないだろう。外国人地方参政権についてもおなじである。一部で期待する向きもあった、すくなくとも4人の閣僚が廃止を求めている死刑制度についての議論も、結局うやむやになるだろう。外交においては、もう何ヶ月も在日米軍基地の移設問題ばかりが話題になっている。幸いなことに、民衆の興味をひくようなスキャンダルもある。中井内閣府特命担当大臣(防災担当)が議員宿舎にホステスを招きいれていたのである。

与党は経験不足のツケを払わされている。大臣で責任をまっとうしたのは2人だけである。しかしこうした迷走には責任者がいる。鳩山由紀夫総理大臣である。新しい論争のたびにカメラの前で怯え、内閣において決断ができないという無能さを露呈している。「人々は総理の人柄にたいへん好意的です。残念なのは、行政の長が朝は右寄りになり、午後になると左に寄り、夜になるとまた右寄りになることです。みんなはもう彼を信用していません」と、ヴェテラン議員である渡部恒三氏はいう。

過去20年間に13人が総理を務めた日本は、政権交代でもってある一定の安定性を取りもどせると考えていた。そして実際はその逆であった。政界はよりいっそう解体されつつある。何人かの自民党の古参のリーダーたちは党を出て新党を結成した。その党名は知性のなさを際立たせている。「みんなの党」「たちあがれ日本」などである。与党の内部ではすでに、ポスト鳩山の動きも出ている。「近い友人に語ったところによると、史上最悪の逃げ回ってばかりの悪宰相という記憶を残さないために、鳩山氏は1年で難局を乗り切りたいとのことだ」と歳川隆雄氏が語る。こうした混乱がどのようなものになるか、だれも予想できない。


Parti démocrate japonais : l'échec de l'alternance
Par Régis Arnaud
14/04/2010
Le Figaro fr.


(訳者付記:
なお、先日ある本で、こんな記述に出くわしました…。
「友愛精神を売物の鳩山さんも、このジレンマに立たされたのでは苦しかったろう。然し一国の総理としてモスクワに出掛ける前に、この問題についての所信を国民は聞きたかったろうと思う。こういう種類の所信の表明は、ほんとの勇気と決断がいるということを承知の上の期待は当て外れか。今からでもおそくはない。引退前にでも云ってもらいたいものだ。これこそほんとの立派な引退の花道になるのだが」(p207)

プリンシプルのない日本 (新潮文庫)「モスクワ」云々を抜きにすれば、現総理の鳩山由紀夫さんへの批判記事かと見紛うばかりですが、実際にこの文章が書かれたのは1956年のこと(文章中の「鳩山さん」とは現総理の祖父にあたる鳩山一朗さんのことです)。本のタイトルは『プリンシプルのない日本』、作者は「戦後の日本を陰で支えた男」というキャッチフレーズで有名な白洲次郎さんです。

この描写に出くわしたとき、ぼくは「なんだかねぇ」と苦笑いしましたが、まぁ決断が苦手、論争では結論の曖昧さを好む日本人気質の悪い部分は、脈々と受け継がれるものなんでしょうかねぇ…。

なお、当書の説明文に「他力本願の乞食根性を捨てよ」「イエス・マンを反省せよ」「八方美人が多すぎる」など、日本人の本質をズバリと突く痛快な叱責は、現代人の耳をも心地良く打つ」とありますが、実際とてもおもしろい本でした。ついでながら『プリンシプルのない日本』をご推薦させていただいておきます…)




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