2010年05月18日

ギリシャ危機って?

このところメディアで騒がれている「ギリシャ問題」。これが複雑でよくわからないとの声をよく聞きますので、きょうのエントリーではできるだけわかりやすく解説してみたいと思います。

*「ギリシャ危機」を短くまとめてみると?
→ギリシャが財政破綻を起こし&国の借金が返せなくなり、これが世界経済に悪い影響を与えかねないという問題です。

*では、そもそもギリシャが財政破綻をした理由は?
→3つほど挙げられています。
@手厚すぎる社会保障制度…たとえばEUで1番の経済大国であるドイツでさえ年金支給開始年齢が63歳であるのに、ギリシャは58歳から。
A多すぎる公務員…公務員をはじめ、その他公的機関に勤める人々が全労働人口のうち1/3〜1/4を占め、さらにその地位が優遇されている。
B常態化する脱税…脱税が常態化しており、本来期待されている税収の1/3が脱税によって失われているといわれています。

さらに付け加えると、「頻発するストライキ」というのも挙げられるかと思います。これはTVなどでご覧になられた方も多いかと思いますが、↑のような状況で国が財政破綻しているのなら、国民がとるべき合理的選択は「粛々と労働&納税すること」になるはずなのですが(ストにより経済がマヒ→よりいっそうの国内の混乱→生活水準のさらなる悪化→さらなるストライキ、と悪循環になっています…)、まぁこのへんはお国事情も絡みますから難しいところですね…。

*国の借金が返せないと、具体的にどのようなことになるのか。
→国内と国外の2つの側面からみてみましょう。借金を返せなかった場合、まずギリシャ国内においてはその後しばらくかなり厳しい経済状況に追いこまれることが予想されます。というのも、借金を返せなかった国への信用はガタ落ちになりますから、だれもギリシャの国債を買わなくなる、つまりギリシャは「経済対策」のために国債を発行するという選択肢も奪われてしまうことになります(借金はできる状態→借金すらできない状態)。ただでさえ財政難なのに、税収その他の実収入のみでやりくりをせねばならなくなり、ギリシャにとって状況はますます厳しくなるでしょう。
 また国外的な影響ですが、ギリシャの人たちには申し訳ないものの、国際社会はむしろこちらを懸念しています。具体例に即していうと、この危険なギリシャの国債を、おもに他のヨーロッパの銀行が保有しているといわれていて、もしもギリシャがデフォルト(債務不履行)してしまえば、これら銀行がもつ国債が紙屑になってしまいます。これに端を発して、EU圏に信用不安が広まり&ユーロの信認が下落すれば、瞬く間に国際経済にも悪影響を与えるでしょう。まさしく、アメリカ発サブプライムショックならぬEU発のギリシャショックを引きおこしてしまうといったところでしょうか。

*以上のような問題にたいして、どういう対応策がとられているのか?
→このようにギリシャの財政破綻はたんにギリシャ一国のみですまされる問題ではないため、EU諸国では対策に乗りだしています。具体的には、先日、1100億ユーロ(13兆円)をギリシャに融資することを発表し、また世界の通貨の安定を図る国際通貨基金(IMF)も300億ユーロ(3,5兆円)を用意することになりました。ギリシャはこの4,5月に、一部国債の償還期限を迎える&ギリシャ単独では支払いができない状態になっていましたが、これにより当面の危機は回避されることになりました。

*以上のような問題にたいして、どういう対応策がとられているのか?
→このようにギリシャの財政破綻はたんにギリシャ一国のみですまされる問題ではないため、EU諸国では対策に乗りだしています。具体的には、先日、1100億ユーロ(13兆円)をギリシャに融資することを発表し、また世界の通貨の安定を図る国際通貨基金(IMF)も300億ユーロ(3,5兆円)を用意することになりました。ギリシャはこの4,5月に、一部国債の償還期限を迎える&ギリシャ単独では支払いができない状態になっていましたが、これにより当面の危機は回避されることになりました。

*では、事態は解決の方向に進みそうなのか? 今後の展望は?
→残念ながら問題は山積みです。今後注目すべき展望としては、EU発の世界同時不況を回避することができるか、さらには単一通貨としてのユーロを維持していくことができるかといったところでしょうか。以下項目別に問題点を整理しておきましょう。

@ギリシャは本当に立ち直れるのか?…他のEU諸国の支援もあり、当面の最悪のシナリオであるデフォルトは回避できました。さらに財政健全化に向けて、日本の消費税にあたる付加価値税のアップ、公務員の年収の3割カット、年金も大幅に支給を減らすなどのアナウンスを行っています。ところが、さきほども触れたストライキなど、国内では政府への反発が強まっており、順調に財政健全化が進むかどうかは不透明なところがあります。もしも財政改革が進まなければ、EU&IMFはいずれギリシャを見限るでしょうし、その場合、ギリシャはいよいよ窮地に追いこまれるでしょう。そしてもちろん世界経済へもかなりの悪影響を及ぼすでしょう。今後のギリシャの財政改革に注目が集まります。

AEU内の不協和音…ギリシャ危機をめぐって、EU内に不協和音が広がっています。たとえばこちらの記事などもご参照ください。ここではドイツとギリシャの対立が触れられていますが、ドイツとおなじようにほかのEUの支援国からすると、自分たちも財政的に厳しいままなんとか規律を守ろうと努力しつつ支援を行っているのに、当のギリシャで改革が進まないとすれば、支援国の納税者たちが反発するのは当然でしょう。このように、ユーロはヨーロッパ統合の象徴として導入された制度なのにも関わらず、皮肉なことに、互いに反目しあう原因にもなりかねないという弱点を露呈してしまいました。つまり、EU諸国は通貨統合をして経済体制を強化しようともくろんだものの、その通貨の信認を脅かす国がでてくれば、「なかば自国にも関わる問題」として支援をせざるをえないという現実に直面することになってしまったのです。
またさらに、ここにいたってはギリシャ側からしてもユーロ圏に属することのデメリットを意識しているかもしれません。極端なことをいえばたとえば、もしもユーロ圏に属していなければ、国内のインフレリスクを覚悟のうえで、ばしばし紙幣を刷って借金を帳消しにしてしまうといったある種の金融政策(?。もちろん、国内経済は混乱するし政府の信用も失われますので、せいぜい一回限りの「禁じ手」扱いとなるでしょうが…))をとることができますが、通貨発行権はヨーロッパ中央銀行(ECB)にあるので、ともかく通貨発行や金利操作などで危機に対応するという手段がないことのデメリットをギリシャ側としては感じているかもしれません。

B破綻危機に瀕しているのはギリシャだけではない…さらに、EU圏で財政破綻の危機が懸念されているのはギリシャだけではありません。ポルトガル、イタリア、アイルランド、スペインはギリシャと同様に財政状態が不安視されており(これら5カ国の頭文字をとって、Piigsと名づけられています)、もしかりに連鎖破綻でも起きればEU圏はもとより世界経済が大混乱に陥る可能性が大きくなってしまいます。こうした懸念も踏まえ、EUでは7,500億ユーロ(90兆円)とかなりの規模の緊急支援措置を打ちだしていますが、こちらの記事を読むと、ギリシャ、スペイン、ポルトガルなどが財政再建に向けて動きだすことによって、今度は「欧州経済の成長が遅れるとの見方が投資家の間で強まる」など、今後しばらくユーロは構造的な不安定要因に悩まされつづけることになることが予想されます。

とだいたい以上です。




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posted by cyberbloom at 22:47| パリ ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | SUPER LIGHT REVIEW | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
遅レスなのですが、課題をするに当たりこちらの記事がわかりやすく、とても役に立ちました。
ありがとうございました。
Posted by yukky at 2010年12月01日 20:04
yukky さん、コメントありがとうございます。
お役に立てて光栄です。
これからもよろしくお願いします。
Posted by cyberbloom at 2010年12月01日 20:49
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