
今年(2010年)5月に出たファーストアルバムが発売一ヶ月ほどでフランス国内チャートのトップに上りつめ、一躍時の人となったザーズZAZ(本名イザベル・ジェフロワIsabelle Geffroy)。ジャケットの写真はずいぶん子どもっぽく見えるが、1980年生まれの30歳(トゥール出身)。20歳の頃から音楽活動をしていたというから、芽が出るまでにはけっこう時間がかかっている。この間、歌う機会さえあれば世界中のどこへでも出かけていって、歌っていたらしい(カナダ、モロッコ、コロンビア、エジプト、シベリア、はたまた日本まで)。パワフルな人である。2006年以降は本拠をパリに置き、おもにキャバレーやモンマルトルの路上(!)で活動を続けていた。2007年、音楽プロデューサ&ソングライターのKerredine Soltani(ケルディヌ・ソルタニ?)が出した「ジャジーでハスキーな声の新人女性アーティスト求む」という広告に応募したことがきっかけで、彼が主催するPlay Onレーベルからファーストアルバムを出すことになる。
このファーストアルバム、とてもいいですよ。元気だし、とにかくうまいし、でもそのうまさがイヤミに感じられるところまでは行かず、ほどよい具合に雑だし。いろんなタイプの曲が入っているが、一番良いのはやはりマヌーシュ(ジプシー)・ジャズ風の何曲か(Les passants, Je veux, Prends garde à ta langue, Ni oui Ni non...)。あと、エディット・ピアフの名曲のカヴァーDans ma rueも出色の出来(個人的にはピアフよりいいと思う)。フォーク調の曲とか、ロックンロールとか他にもいろんなタイプの曲が入っているが、あまりいろんな方向に色目を使わず、ジャズ一本でど〜んと構えて活動した方が良いように思う。あと、彼女の歌を聴く人のほとんどはピアフを思い出すだろうし、本人も意識していないはずはないが、いずれひとりのアーティストとしてピアフの呪縛から自らを解き放たなければならない日が来るだろう。それがうまくいくかどうかが少々心配だ。
◆ZAZのプロフィルについては
http://fr.wikipedia.org/wiki/ZAZ_(chanteuse)
http://www.idolesmag.com/interview-34-Zaz.html
を参考にした。
MANCHOT AUBERGINE

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