トラン・アン・ユン監督の作品にかかせないのが、えも言われぬその映像美。『ノルウェイの森』についても、スチール写真を見るだけで、ため息が出るくらいです。今回撮影監督を務めたのは台湾出身のリー・ピンビン。トラン監督とは『夏至』(2000年)以来、2度目のタッグです。『夏至』で表現された、濡れたような透明感あふれる映像は、作品の内容と絶妙にマッチしていましたが、今回でもその手腕を存分に発揮しているようです。リー・ピンビンは主にホウ・シャオシェンなどアジアの監督と組んですばらしい仕事を続けてきました。日本の作品でも、三島由紀夫原作、行定勲監督の『春の雪』や、是枝裕和監督の『空気人形』などに参加し、やはりはっとするような美しい映像を残しています。どの作品の撮影も捨てがたいのですが、一作挙げるとすれば、ウォン・カーウァイ監督の『花様年華(かようねんか)』でしょうか。
ともに伴侶がいる男女の秘めた恋愛を描いたこの作品では、暗めの渋い色調の映像が展開され、日本版ポスターに使われた写真からもわかるように、特に赤い色が印象的です。マギー・チャンとトニー・レオンという美男美女のカップルをバックで彩るこの赤い色は、控えめではあるけれども深く濃厚な色合いで、大人同士の許されぬ恋の官能性を強調しているかのようです。
ウォン・カーウァイの美意識に応えた完成度の高いこの映像の効果もあってか、この作品はフランスでも一大ブームとなりました。マギー・チャンの着こなす美しいチャイナ・ドレスもすばらしく、まさに目の保養となる映画です。
exquise@extra ordinary #2
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