2010年の締めくくりに、この年の始まりの日に37才で他界したLhasa(ラサ)のこの曲を選んでみました。乳がんを告知されてから約2年。繊細さと土の香りが同居する独特の声と英語、フランス語、そしてメキシカンである父の言葉であるスペイン語によるユニークな歌世界が評判を浴び、モントリオール発の新しい才能として世界的に知られるようになった矢先の死でした。
亡くなる前の年にリリースされたサードアルバムに収められているこの曲で、Lhasaは、遠からず訪れる自分の「死」について率直に歌っています。嘆きでも、お別れの歌でもありません。「生」の世界から、未知の「死」の世界へ向かうことを前向きに捉えています。自分を囲む人々の事を切り捨ててしまった訳ではない。しかし、今の私は旅立つ事に心を傾けたい、と。たんたんとしていて、それでもこちらの顔をしっかり見ているような歌声に、はっとさせられます。
この曲のことを教えてくれたのは、同じカナダのシンガー・ソングライター、ルーファス・ウェインライト。彼は今年1月に最愛の母、ケイト・マクギャリグルを病で失っていますが、この曲を聴いて死に引き寄せられつつある母の立場がどんなものかを感じることができた、とインタビューで語っています。家族の事を思ってか、「死」について口にせず「生きる」ことに前向きな姿勢を取り続けていた母の、表に現れない内面について思いを巡らせることができたのは、この曲のおかげだと。
世の中が、当然の事のように、2011年へと脇目もふらず突き進む今このときに、Lhasaが残したこの歌を聴くと、違った景色が見えてきます。
“Don’t ask me to reconsider
I am ready to go now”
http://youtu.be/6CEjujV8FtM
GOYAAKOD@ファッション通信NY-PARIS
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