
物語の中心を、夭折した青年詩人ではなく、その恋人の女性に据え、彼女が日々行う縫い物を詩人の活動と等しく扱っている点に、女性の複雑な心理描写に長けたカンピオン監督らしさが表れている。そのファニーの縫い上げた衣装がまたすばらしく、完璧といっていいほどのスタイリングで着こなされていた。登場人物の衣装のほか、部屋のインテリアや庭などセットにも隅々まで神経が行き届いていて、どの場面を切り取っても美しい絵になっており、それを背景にファニー役のアビー・コーニッシュの凛とした姿とキーツ役のベン・ウィショーの母性本能をくすぐるルックスが映える。この映画には大きな白黒猫が出てきて場をなごませているのだが、パルム・ドッグならぬパルム・キャットがあったなら、ぜひこの猫さんにあげたい。
exquise@extra ordinary #2

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