メディア世代にとって、人生のメルクマールはテレビ番組や音楽や映画だ。とはいえ、そういうものを改めて探し出すのは手間がかかった。偶然に出会うとしても頻繁に起こる体験ではなかった。しかし、今は Youtube によって簡単に取り出せてしまう。記憶をサイトで共有するだけでなく、個人がそれを使って記憶を補強し、人生を手軽に再構成できる。Youtube はいわば世界の記憶庫だ。Youtube のサーバーの中で世界の人々の集合的な無意識が増殖している。
一方で、自分にとって絶対的だと思っていた体験が相対化されることもある。昔、誰が何と言おうとカッコいいと思っていた映像(特にライブ映像やビデオクリップ)が、ゾッとするくらいダサかったりする。それまで再現されなかったために自分の中で絶対化され、美化されていたにすぎないもの。現在時からの都合の良い思い込みで再構成される過去に対してシビアに証拠を突きつける。
例えば、80年代の音楽は音としては問題なく聴けるのだが、映像となると今の視点からは鑑賞に耐えなかったりする。特に美意識に関わるファッションやメイクは移り変わりが速く、時代性が色濃く反映されている。新しい美意識に対して、私たちも気づかないうちに速やかに順応していることに驚かされる。
Youtube もまた玉石混交の情報の海なのだが、次世代に語り継ぎたいとお節介ながら思ってしまう、素晴らしい「玉」の数々を拾い上げることができる。音楽を言葉で説明されてもピンと来ないことがよくある。やはり音楽に関しても、百聞は一見(聴)に如かずだ。これも Youtube が可能にしてくれる。画像や音質は悪いが、試聴するには十分だ。下手をするとオヤジの昔話になりかねないのだが、今回紹介するのは先回に引き続き、フランスのプログレッシブロック。

(1)UNIVERS ZERO / FALLING RAIN DANCE
これはフランス語圏のベルギーのグループ。室内楽風の構成なのでチェンバー・ロックと呼ばれる。これは比較的最近のライブ映像で、フュージョンっぽいキレイな音になっている。以前は木管楽器が前面に出ていて、特にバスーン(ファゴット)のこもった低音と生ピアノが特徴的で、もっと呪術的でフリーキーな音作りだった。個人的なベスト盤は HERESIE(異端)。このPL盤を手に入れるのにどんなに苦労したことか。今やアマゾンで簡単に買える。ブログで知己を得た(「預言者リブザ」を参照)、神戸の同系のバンド、アイン・ソフがメキシコのフェスティバルでユニベル・ゼロと共演して先日帰国。
*HERESIE
*IMPLOSION(Falling Rain Dance 収録)
(2)MAGMA / DE FUTURA
フランスのプログレといえば外せないのがこれ。マグマにハマっていた当時はライブ映像を見れるなんて夢のまた夢だった。しかし、今見ると怪しげな新興宗教の集会にしか見えない。不思議な響きを放つ歌は、彼らが考案したコバイア語によって歌われている。彼らはコバイア星からやってきたコバイア星人で、コバイア語によってコバイア神話を歌う。書いていて、コリン星からやってきたゆうこりんを思い出した。今となっては同じレベルのギャグなのか。これも70年代のサイケカルチャーの産物だが、ここまで変さを徹底できるのはフランスならではか。オペラを聴くようになって、プッチーニのオリエンタル・オペラ(「トゥーラン・ドット」とか)パクったのかなとも思った。マグマの映像を探していたら、偶然、Jade chante Magma(ジャドがマグマを歌う)というビデオを発見。2、3歳と思われるフランス人の女の子がマグマの変拍子を見事に歌いこなしている。これぞ Youtube の醍醐味と言える投稿ビデオ。
*UDU UDU(De Futura 収録)
cyberbloom
↑クリックお願いします!
★french bloom info-baseへ




