レ・アールの生地商人の子として1789年に生まれ、洋傘商の奉公人から身を立て若くして時代の寵児となったポアレ。その後半生は、過酷なものでした。第一次世界大戦後、軍服作りにかまけてファッションの現場を離れていた彼を待っていたのは「時代遅れ」の烙印でした。戦中に女性のライフスタイルは劇的な変化を遂げ、活動的な美しさ、実用の美が求められるようになっていたのです。ビジネス上の失敗もあり店を閉めたポアレは忘れ去られ、困窮のうちにドイツ占領下のパリで世を去ります。生活のためバーテンダーとなり、布巾で自分の服を拵えていたと伝えられています。徒弟時代の唯一の楽しみは、作業場に打ち捨てられた絹の端切れで妹にもらった木の人形のドレスを拵えることだった、とポアレは語っています。夢の衣装をまとった人形を相手にきらびやかな世界を夢想した孤独な少年は、ついに夢幻を現実のものとしました。自らあだ名したように、ポアレは、恐れを知らぬ「ファッションの王様」としてあの時代に君臨したのです。
最新号のヴォーグUS版は、彼のデザインにインスピレーションを受けた現代のデザイナーの作品をトップモデル、ナターリアに着せて「ポアレの時代」を蘇らせようと試みています。服自体はポアレのオリジナルではありませんが、展覧会でみる美術品としてのドレスからは想像し難い、ベル・エポックの活きた雰囲気が濃厚に感じ取れる好企画です。
http://www.style.com/vogue/feature/050107
また、同誌のウェブサイトでは、ポアレの特集を組んでいます。当時の写真、イラストもふんだんに盛り込まれポアレの全体像を知るには最適です。20世紀初頭のフランス、ヨーロッパ文化に関心のある方は、ぜひチェックしてみてください。http://www.style.com/trends/stylenotes/043007
ニューヨークのメトロポリタン美術館で開催されているポワレの展覧会の図録も近々発売されるようです。
Paul Poiret (Metropolitan Museum of Art Publications)
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