没後30年を記念しての特集だった。高層住宅の谷間の公民館のようなところで、「マンマ・ローマ」、「オイディプス王」などの代表作を上映していた。
また、このフェスティバルの間、フランス国立図書館に隣接するフランス通り(Avenue de France)では、このパゾリーニ・レトロスペクティブに際し、写真の展示もあった。

この通り、オステルリッツ駅から延びる線路に沿って伸びており、パリ市内とはいえ、どこか郊外の空気が漂う。線路の向こうには、大きくタグが施された古い倉庫が並び、実に殺伐とした景色だ。列車の走る音が聞こえてきても、旅情が誘われることなどない。

そういえば、パゾリーニの代表作の一つ「アッカトーネ」でも、都市周縁の風景が、印象的に描かれていた。都市周縁の風景は、端的に言えば、どこでもない場所である。おそらく世界中に、似たような風景が広がっているが故に、匿名化された場所。パゾリーニの映画では、人々はそうした場所で殴りあい、犬のように死ぬ。
鉄道に隣接したこの通り、パゾリーニの撮影現場を収めた写真の展示には、実にしっくりときていた。
■ピエロ・パオロ・パゾリーニ(Wikipedia)
キャベツ頭の男@どうってことない風景

↑応援クリックお願いします
