しかし市民向けホールといっても決して侮ってはいけない。ここは時折、海外の演奏家を招いた質の高いコンサートを企画する。例えば、昨年(2007年)1月8日に開かれたベルリン・フィル八重奏団のコンサートは秀逸なものだった。ベルリン・フィルの管弦楽器の首席クラスのメンバーにて構成されるこの楽団の演奏が、東京や大阪の大ホールではないところで鑑賞できるというのは素晴らしいことである。このクラスの楽団は場所がどこであろうと手を抜いた演奏はしない。上原彩子をピアノ独奏に招いたシューベルト作曲ピアノ五重奏曲イ長調『ます』も優れた出来であったが、やはりフルメンバーによる演奏は出色のものであった(シューベルト作曲八重奏曲ヘ長調D803)。この演奏家たちによる類い稀なる音色は確実に観客の心に刻み付けられたと思う。このコンサートは、同年の5月17日、大阪のシンフォニー・ホールで「ストラディヴァリウス・サミット」と銘打たれたベルリン・フィル弦楽合奏団(ヴィヴァルディ作曲『四季』など)の演奏をも超える鮮やかな出来栄えであったと思う。
今年はこのホールは春から秋にかけて海外の歌劇場によるオペラ作品を三本上演するという(ロッシーニ作曲『シンデレラ』[6月、スポレート歌劇場]、『リゴレット』[9月、ウィーンの森バーデン私立歌劇場]、プッチーニ作曲『トゥーランドット』[10月、ウクライナ国立歌劇場])。もちろん、これらに兵庫県立芸術文化センターの企画するプログラム(メトロポリタン歌劇場、パリオペラ座)ほどの豪華さはない。だが、それでもこうした大胆かつ多彩な企画を実現してしまうこのホールの熱意とそれを支える市民の音楽熱には感動させられる。神戸とはこういうことが許される街なのだ。
さて、そんな神戸文化ホールであるが、この3月は注目すべきリサイタルが数多く開催される。まず、3月9日(日)は森麻季(ソプラノ)と横山幸雄(ピアノ)のデュオ・コンサート。曲はドニゼッティ、プッチーニの歌劇からアリアなど。森は近年最も注目を浴びるソプラノ歌手で、その透き通った、そして伸び上がるような歌声は一度聞いたら忘れることは出来ないだろう。最近はテレビなどでも彼女の歌声を使ったメロディが流れることもあるので、それと知らずに聞かれた方も多いのではないだろうか。その彼女が横山という手練のピアノの弾き手を伴奏者に得てリサイタルを開くのだから、聞きに行かない手はないだろう。恐らく、素晴らしいコンサートになるのではないだろうか。

あれは10年ほど前だったろうか。当時、パリに留学中だった村治が作曲家ロドリーゴを訪ねるというドキュメンタリーがテレビで放送されたことがある。ギター音楽の珠玉の一品、『アランフェス協奏曲』の作曲者もこのとき既に90歳を越えていて、コミュニケーションも容易ではない状態であったのだが、カメラはこの作曲家から何かを感じ取る村治の姿をはっきりと捉えていた。この撮影の数ヶ月後に亡くなったロドリーゴから村治が何を受け取ったのか、それは演奏を聴いてみれば分かるであろう。村治はそれ以来、ロドリーゴを重要なレパートリーにしている。
これ以外にも3月の神戸文化ホールは熊本マリのピアノ・リサイタル、山形由美のフルート・リサイタルなど、中堅、ベテランの女性演奏家によるリサイタルが数多く開かれる。多彩で魅力的な演奏会を次から次へと開くこの音楽ホールは、神戸市民のみならず関西の音楽愛好家には極めて重要なホールの一つと言えるのではないだろうか。このような市民ホールも決して侮ってはならないのだ。
□神戸文化ホール http://www.kobe-bunka.jp/hall/
□Kaori Muraji / Viva! Rodrigo(Amazon.co.jp で詳細を見る)
□Kaori Muraji / Concierto de Aranjuez(from youtube)
不知火検校

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昔 図書館で ウィンド フォー マインドを 借りた記憶です。今 動画で 風の結晶・ ショパン ノックターン ハ短調 を 聞いています。最高です。癒されます。私は 血圧低いのですが この 雰囲気の音楽いいですね。
音楽同好会(名前検討中 山形由美を語る会
クラッシックに 詳しくない 私です。
また ご教授のほど お願いします。