2008年04月15日

「赤と黒」/スタンダール

赤と黒 (上) (光文社古典新訳文庫 Aス 1-1)誘惑する者は,知をもってその恋愛を成就させる.
他方,誘惑される者は己の情に支配され,囚われの身であり続けることを強いられる.

スタンダールの「赤と黒」が優れているのは,一人の主人公が誘惑する者であると同時に誘惑される者である点にある.

物語の冒頭,立身出世を夢みる野心家の主人公がいささか滑稽に感じられるが,ある時点を過ぎると事態は極めて複雑な様相を帯びてくる.
状況は,常に当事者の(そして言うまでもなく読者の)予見を裏切るものだ.

非常に長い小説であるが,複雑な人物関係と心理描写を結末へ向けて収斂させるその握力は見事である.
電圧は極めて高い.


赤と黒 (上) (光文社古典新訳文庫 Aス 1-1)
赤と黒(下) (光文社古典新訳文庫 Aス 1-2)



キャベツ頭の男@どうってことない風景

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posted by cyberbloom at 18:44| パリ ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | どうってことない風景 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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