世界同時不況、金融危機、株安、雇用不安、格差社会と最近のニュースを見聞きしていると、やっぱり人類はいつまでたっても安定した幸せを手にすることはできないんだなぁとしみじみ実感してしまいますね。原始時代から比べればはるかに富も知識も有しているはずなのに——たとえば原始人に、いま現在の世界全体の食料備蓄量をみせつけたらぶったまげるんじゃないかな。邪馬台国の農民が、現代日本の一反当りの米の収穫量を知ったなら、農作業があほらしくなって鍬を投げだすかも——、現代社会はひとたび不況となれば大混乱にみまわれてしまいます。とまぁ、不況は資本主義社会にとって必要悪ともいえるので(不況・好況は「個人・企業・政府」という3つの経済主体間の相互作用を通じて起こるもので、「悪名高き=慢性的プチ不況?を引きおこす」計画経済制度を採用するのでもなければ、景気循環を制御することはかなりむつかしい)、ある程度しかたないものかもしれませんが、ただ現代社会を見渡してみるとどうも釈然としない気分になりませんか? つまり、たとえば不況になった以上、現在のように企業がある程度の雇用削減などの対策をするのは当然だといえます。これをとやかくいうつもりはありません。けれどもそれを差し引いたところで最近企業の振る舞いについて、どうも納得できないニュースが目立つようになってきているように思われます。食品偽装、環境汚染、粉飾決算、社員の不当解雇等々。逐一、具体例は挙げませんが、ここ100年ほどの間に人類に爆発的な富をもたらしてきた企業は、それと同時に世界全体にとてつもない影響力をもつようになり、さらに同時にその不正行為が全世界的に悪影響を与える存在となっています。
では、企業とは現代人にとっていったいなんなのか? その問いに真っ向から取り組んでいるのが、きょう紹介する映画『The Corporation』です。
まずこの映画の特色といえるのは、企業=Corporationそのものにまっすぐ焦点をあわせていることです。従来のこの手のドキュメンタリー映画では、結局批判の矛先が企業の「経営者」に向けられがちですが、『The Corporation』では企業=Corporationを営利法人→法人→ヒトとみなし、このヒトとしての企業=Corporationがそもそもどういう性格をもっているのかについて、さまざまな立場のひとたちの意見を交えながら綿密に検証しています。
この映画ではThe Corporationにたいして精神分析を行い、以下のようにその人格を定義しています。
1)他人への思いやりがない
2)人間関係を維持できない
3)他人への配慮に無関心
4)利益のために嘘を続ける
5)罪の意識がない
6)社会規範や法に従えない
もしこれがほんものの人間だったら、ぜったい友達になりたくありませんね。たとえばThe Corporationと友人関係を結んだとしましょう。The Corporationとうまく利益を共有できている場合、関係は良好です。ところがうまくいかなくなると、すぐさまポイです。そしてここが注意すべき点かもしれませんが、経営者にとってもそれはおなじことです。つまり経営者とはThe Corporationの取り巻きみたいなものでしょうが、彼らとて経営に失敗して利益をだせなくなれば、The Corporationからポイされてしまいます。企業問題等においてとかく非難されがちな経営陣にしたところで(政府から経済支援をえるために、プライヴェートジェットで陳情におもむくあほみたいな企業経営者たちは救いようがありませんが)、つねにThe Corporationからポイされるのではないかと戦々恐々としているという意味で、かならずしもThe Corporationの同胞=親友というわけではないのですね。
あるいは、いま現在の不況のさなかにおいて、The Corporationの非情さが露骨にあらわれているといえるかもしれませんね。The Corporationというヒトは、ぼくら一介の労働者であろうが経営者であろうが政治家であろうが、利益を生みだせなくなった人類にたいして冷たい態度をとりはじめ、いまぼくら人間を悩ませているといってもいいんじゃないでしょうか。
まったく、人類はやっかいなヒトを抱えこんでしまいましたね…。
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興味深い映画だった
解決策など見当たらない問題です
企業活動の光と影
知らず知らず広告に踊らされる私たち。
本を読んでもいいけれど、内容は十分目を覚まさせるもの。
superlight@SUPER LIGHT REVIEW
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