アルバムには Cazotte No.1 というフュージョンの傑作も収められている。前のアルバムからメンバー・チェンジがあり、テクニック的にも格段に向上し、高度なアンサンブルと白熱したインタープレイが可能になった。タイトルは、幻想小説の先駆者と言われ、「悪魔の恋」(学研M文庫『変身のロマン』に収録)という作品で知られるフランスの18世紀の作家、ジャック・カゾット Jacques Cazotte から来ているのだろうか?ボードレールといい、カゾットといい、プログレは文学ネタにも事欠かない。
アトール
ディスク・ユニオン (2002-12-24)
売り上げランキング: 173108
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おすすめ度の平均: 

ユーロプログレを代表する名盤
ユーロロックのひとつの到達点
驚愕の1枚
聞き応えのあるフレンチプログレ一方、イエスというイギリスのバンドの名を初めて聞く人もいると思うが、イエスは Yes であって、Jesus ではない。彼らの代表作といえば『こわれもの Fragile 』(1972年)と『危機 Close to the edge 』(1973年)が挙げられるだろうが、『こわれもの』は「ラウンド・アバウト」や「燃える朝焼け」という名曲を含みながらも、各パートの色をそれぞれ出した実験的な曲が半分を占めている。一方、メンバーの個性が衝突しながらも見事に融合した、精巧な建築物さながらの2つの組曲+1曲で構成される『危機』の完成度の著しい高さをみれば、やはりイエスの最高傑作と呼びたくなる。個人的にはパトリック・モラーツ(key)が参加した『リレイヤー Relayer 』も捨てがたい。下のライブはこのアルバムが出た1975年のライブ。曲は「危機 Close to the edge 」。同ライブで演奏された『リレイヤー』の名曲「錯乱の扉 The gates of delirium 」も必聴!(しかし両曲とも肝心なところで途切れている。続きはCDかDVDを買ってくださいってことか)
先ほど建築物の比喩を出したが、イエスのスタイルは構築型のプログレシッブ・ロック。曲は長いが、インプロビゼーション=即興演奏によって展開するのではなく、曲の細部まで作りこんであり、構成としてはクラッシックに近い。ライブでも曲をアルバムのままに再現する感じだが、あれだけの曲を一糸乱れぬ形で再現できる演奏力があってこそだ。ジョン・アンダーソンの歌詞には、普通のロックが扱うような恋愛とかセックスとか車などという下世話で具象性が高いネタは一切出てこない(そういえば、反捕鯨の歌があったな)。ひたすら抽象度が高く、安易に消化されない硬質な言葉を積み上げ、イエスの音楽にさらなる至高性を上塗りするのだ。
youtube にはイエスの最近の映像もたくさんアップされている。脱退した初期メンバーたちも一堂に会して、臆面もなく過去の名曲を披露しまくる Unionツアーをしょっちゅうやっているようだが、アクションやコスチュームがあまりにダサくてトホホな気分にさせられる。それにオヤジバンドを通り越し、すでにジジバンドの領域である。全くプログレッシブ(=進歩的)ではないプログレッシブ・ロックとはまさにこのことだ。
「燃える朝焼け Heart of the sunrise」なんて盛り上がりまくっている。この曲はヴィンセント・ギャロの映画「バッファロー66」の意外な場面で使われたり、日本のドラマで流れたりしていたので(おそらくギャロの使い方をパクったのだろう)、若い人も聴いたことがあるかもしれない。



アトールの『夢魔』のジャケットがちょっとグロくて、インパクトはあるが、個人的には苦手なタイプの絵。もしかしたらロジャー・ディーンを意識しているのかもしれないが、あのイラストの洗練度には遠く及ばない。イエスといえばロジャー・ディーンのジャケット(↑)が真っ先に思い浮かぶ人も多いだろうが、それはイエスのイメージの一部を確実に担っていた。
初めにアトールを「フランスのイエス」と紹介したが、フランスでそう言われていたわけではなく、日本で紹介されたときの便宜的な呼称だったのだろう。実際、アトールとイエスは似ても似つかない。イエスは、聴けばイエスだとすぐにわかる、誰も真似ができない孤高の音世界を作り出してきたし、アトールに関して言えば、セカンド・アルバムの時点で理想的なメンバーとアイデアが偶発的に結集され、一瞬のひらめきのような作品を生み出したのだ。
次回はキング・クリムゾンVSエルドン。
Close to the Edge
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Yes
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ボーナストラックが楽しい
おいおい勘弁な
親しみやすさと高尚さと
イエスらしい作品ですね?
やはりこのアルバムが最高cyberbloom
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