ところが、現実を見渡せば、世界のかなりの多くの国がこの政策をとっています(たとえばお隣の韓国)。これはどういうことでしょうか? 結論からいうと、リフレ政策の目的は中央銀行が意図的にお金の価値をさげることといってもいいかと思います。さらに踏みこめば(ここが大事になるかと思いますが)、不況に見舞われている国々では、政府や中央銀行がなにもしなければ、国民はどんどん財布のヒモをかたくして、できるだけモノを買わないようになります。するとさらに経済全体が冷えこむ。そこで、中央銀行が意図的にお金の価値を落として(インフレを起こす)、国民を消費に向かわせる。これがリフレ政策の中心にある考えかたになるでしょう。
この記事を読むと、まるで中国だけでなく韓国もぐんぐん成長しているかにみえます。ところがこれは記事にははっきり明記されていませんが、間違いなく名目成長率であり、最後まで記事を読めばわかるようにしっかりインフレ率が数%アップしています(それどころか韓国経済の実体は…この動画をご覧ください)。
そしてこのリフレ政策にはもちろん好ましい側面と危なっかしい側面があります。そちらを整理しておきましょう。
勝間さんの主張を綿密に調べたわけではないのですが、ともかく彼女の主張は現在の日本をデフレ状態から脱却させたいという狙いがあると思います。
デフレというのはインフレの正反対で、すくなくとも結果的にお金の価値がどんどんあがっていく現象を指します。現在の日本がまさにそうなのですが、このところモノの値段がどんどんさがってきています。このこと自体は悪いことでないようにみえるのですが、このことがお金の価値を高めることにつながってしまいます。どういうことかというと、たとえばいま手元に100万円の資金があり、これをつかって100万円の車を買おうと考えているとします。ところが、この車が来年には80万円になると予想されています。このとき合理的な人であればどうするでしょうか。緊急の必要性に駆られているのでもなければ、来年買って、20万を手元に残すことにするでしょう。「デフレ=お金の価値があがる」というのはこういうことで、モノを買うことよりお金を手元に残したがる傾向になってしまうということです。これでますますモノが売れなくなり、デフレスパイラルとなってしまいます。
リフレの好ましい側面ですが、以上のようにいまの日本のような「お金の価値があがっている=国民がお金を手元に残したがる」状態にある国においては、中央銀行によって意図的に市場でのお金の量を増やし、適正レベルでその価値を下げることに成功すると、好ましいかたちで国民を消費に向かわせる要因になるということです(中央銀行が100万円刷ればそのまま100万円分物価が上昇するという単純な話でないのがむつかしいところなんですが、それはさておき)。そしてこのときはデフレのときと逆の効果、つまりお金はもっているだけでは損をするということになります。現在の車の価格が100万円、来年200万円になるとすれば、手持ちが100万円以下の場合でもなんとか工面して今年中に買っておこうと思うはずです。
このようにリフレ(インフレ)というのは「物価狂乱」ということばを連想するなど悪いイメージがつきまといますが、お金の価値がさがっていくという効果を通じて、消費を刺激するといった意味では、不況下においてはありうる対症療法のひとつにもなります。
ついで、危なっかしい側面をみていきます。中央銀行のこうした政策が思わぬ負の副産物を生みだしかねないという点を押さえておきましょう。リフレ政策を実施するにあたって、中央銀行はインフレターゲットを設定します。これは中央銀行が目標とする物価上昇率のことで、たいていは1~3%程度といわれます。
そしてまず第一の負の側面ですが、リフレ政策によりハイパーインフレが起こってしまうかもしれないことが挙げられます。たとえば想定外の円安、国債の暴落などの要因により、目標値として定めた以上の物価高騰をまねきかねないということです。
つぎに、バブルを引きおこしかねないという側面です。お金の流通量のアップ=お金の価値の低下→金余りの状態となります。もしもこのお金が望ましい消費や投資に向けられるのならいいのですが、そうではなく株や不動産の取得に向けられた場合、バブルを誘発してしまう可能性が高くなります。現にこちらの記事をみていただければわかるように、実質的な経済成長がないにもかかわらず、韓国では不動産価格が高騰するという状況になっています。
そのほか、そもそも人口が減少傾向にある日本において、「デフレ」はそれ単体で悪と決めつけられるわけでなく(むしろ人口がどんどんどんどん減っていくのに、GDPが下落しないのだとすれば驚異的です)、日本においてデフレ脱却の手段としてのリフレ政策は、その有効性云々を議論する以前にこうした点も考慮に入れる必要があるでしょう。
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ラベル:勝間和代




