2010年02月10日

音楽で観るフィギュアスケート バンクーバー五輪男子シングル編

前回の女子編に引き続き、バンクーバー・オリンピックに出場する男子フィギュアスケーターのなかから、音楽とプログラムが印象的な選手何人かをご紹介します。

A Day in the Life by The Beatles - Jeremy ABBOTT (USA)

Jeremy.jpg全米選手権2連覇で見事初のオリンピック代表となったジェレミー・アボット選手。もともと彼は音楽表現に優れていて、毎年素敵なプログラムを披露してきましたが、ビートルズの人気曲を使ったこのプログラムは、今シーズンのベスト・ショートプログラムだと思います。特に曲調が変わる部分から始まる2種類のステップシークエンスを滑り切ってスピンへ移行し、最後のあの「ジャ〜ン」という音で終わるまでの盛り上げ方が素晴らしい。彼は毎年雰囲気が変わるのだけれど、去年のロマンティックな王子様風から今年は爽やかな好青年風へと変わったのもこの曲に合わせてのことでしょうか。シーズン後半にかけてジャンプも安定してきたので、オリンピックではメダル争いに加わってきそうです。ちなみにコーチは日本人の佐藤有香さんです。

Jeremy ABBOTT Short Program




Wish Me Well by Willi Dixon, Memphis Slim / Whammer Jammer by The J. Geils Band - Samuel CONTESTI (ITA)

samuel.jpgもともとフランスの選手でしたが、トリノオリンピック出場をめぐるいざこざからイタリアへ移住し、そこから急に頭角を現してついにイタリア代表にまで上り詰めたサミュエル・コンテスティ選手。コーチと振付けは奥様だそうで、まさに愛の力が実を結んだのでしょう。彼はいつもユニークなプログラムで会場を沸かせてくれますが、今回もカントリー風の出で立ちでブルース音楽をバックに、エキシビションのような楽しい演技を披露してくれます(アンデスの音楽を使ったフリーも個性的)。豊かな表情に加えてダイナミックなジャンプも魅力で、観客を味方につけるのがうまい選手です。


Samuel CONTESTI Short Program





Go Chango by Les Baxter / Harlem Nocturne by Earle Hagen and Dick Rogers /Topsy by Eddie Durham - Vaughn CHIPEUR (CAN)

vaughn.jpgカナダ選手権で2位に入り、オリンピック出場を果たしたヴォーン・チッパー選手(名字の表記にちょっと迷いましたが、選手権では「チッパー」または「チップール」と聞こえるアナウンスがされていました)。すごい速さで滑ってきては豪快なジャンプを飛び、168センチの身長がひとまわりもふたまわりも大きく見えるダイナミックな演技をする選手です。彼のようなガッチリ体型のパワフルスケーターは今の男子選手ではあまり見られないので、ジャンプを決めてグイグイ押してくれば逆に目立つ存在となるでしょう。荒削りな部分も見られ、繊細さには欠けるかもしれないけれど、今季の「ハーレム・ノクターン」といったムーディーなジャズ音楽を使ったプログラムでは彼のよさがうまく活かされています。

Vaughn CHIPEUR Free Program




Teardrop by Massive Attack / Insane in the Brain by Cypress Hill / Smack my bitch up by Prodigy - Adrian SCHULTHEISS (SWE)

adrian.jpgスウェーデン代表となったアドリアン・シュルタイス選手は、金髪のソフト・モヒカンと口ピアス姿でシニアの大会に登場してきたときから、ちょっと気になる選手でした。外見も個性的ながら、プログラムに使う曲も他の選手とは少々異なっています。今季のフリーでは、マッシヴ・アタックといったエレクトロニカやヒップホップ系の音楽を組み合わせたものを使用していて、特にエンディングに聞こえるクレイジーな笑い声が印象的。彼自身もこういう曲が好みのようで、クラシックや映画のサントラを使ったプログラムよりもこういう音で滑っているときのほうが生き生きとして見えます。ルックスと比べると、演技はまだ薄味、という感じなんですが、これからも自分のキャラクター色を押し出したプログラムを期待しています。

Adrian SCHULTHEISS Free Program




La Strada (soundtrack) by Nino Rota - Daisuke TAKAHASHI (JPN)

daisuke.jpg怪我による1年のブランクを経て高橋大輔選手がこのフリープログラムを滑ったとき、全身からスケートができる喜びがあふれているように見えて、思わず目頭が熱くなってしまいました。以前は自ら語っていたように「エロカッコいい」路線だったので、イタリアのフェデリコ・フェリーニ監督の名作「道」のサントラを選んだのは少々意外でしたが、彼のコミックな一面が新たに開拓されていて、演技者としてさらに深みが増したように思います。映画の内容に沿うように、大道芸人のパントマイムを織り込んだこのプログラムは、ちょっと物悲しく、でもしみじみとあたたかいニーノ・ロータの音楽にしっくりマッチしていて、何回見ても大好きなフリー演技です。あとは4回転ジャンプが決まってくれたら・・

Daisuke TAKAHASHI Free Program




実力が伯仲している男子シングルですが、前回のメダリスト、プルシェンコ選手とランビエール選手も参戦してますます状況が混沌としてきました。個人的にはアボット選手と高橋選手にメダルをあげたいんですが、こればかりはどうにもなりません。せめて実力を出しきって悔いのないオリンピックにしてもらいたいですね。


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posted by exquise at 06:59| パリ ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | extra ordinary #2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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