というのもこれは「親子」の映画なのだ。湖の近くにある小さな田舎町。少女が行方不明になるが無事に見つかる。ところがこの少女の口から湖で若い女性が蛇の呪いで眠っているということが語られてから大騒ぎになる。湖のほとりで全裸で発見された遺体はアンナ。恋人もいてホッケーの主力選手、父親に溺愛されていた美少女とわかる。
そこから犯人の捜査が始まるのだが、小さな町の町民はお互いに顔見知り、さまざまな憶測やうわさが飛び交う。そう多くない登場人物のほぼ全ての親子関係が顔を出す。
犯人と目される少女の恋人は父親を知らず母の手一つで育てられた。捜査の指揮を執る警部の妻は精神病で娘の顔もわからない。真実を知らされない娘はいつまでも子ども扱いと警部をなじる。遺体の第一発見者の男性には知的障害があり、その父親は足が悪く、容姿と才能に恵まれた被害者を憎んでいた。被害者と不倫関係にあったと目される男性には重い障害がある子どもがいたが亡くなっている。
人気があり、将来に何の問題もないと思われた被害者は実は処女で、脳腫瘍であと半年の命だったことがかなり早い段階でわかるのだが、犯罪捜査というのは実にその人の人生を暴きたてるものなのだなあと思いいたる。何が好きで、何が嫌い。どんな人と付き合い、どんな夢を抱いていたのか。殺されるのはもちろん嫌だが秘密にしておきたいこともすべて白日にさらされる。それもまた嫌な話だ。
ここで描かれるのは親子の悲劇だ。親だからといってすべての親が子供を愛せるわけではない。望まれぬまま生まれる子供も多い。たまたま美しく生まれつき、才能にも恵まれるか、障害を持って生まれ親に多大な負担を強いるか。それは蓋を開けてみないとわからない。また愛し合っていてもすれ違うこともある。溺愛もまた行き過ぎると病的なものを感じさせる。
懸命に親業を果たそうとしたけれど果たせなかったとき、それを責める事ができるのかー問いかけてくる映画だ。
黒カナリア@こんな映画あんな映画
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