今年度ある大学の授業でフランス映画を題材にしたテキストを使っています。そこでは色々な時代の作品が取り上げられていて、毎回その一部を学生さんたちとビデオで観ているのですが、フランス映画にはいわゆる「二枚目」というのが案外少ないなあと思います。美男子よりも印象深いとかアクが強いとかどこか特徴ある顔立ちの男優(そういう男優たちはおのずとキャラクターや演技も個性的なんですが)のほうが受け入れられるのでしょうか。そんななかで、逆に一人異彩を放っているのがジェラール・フィリップ Gérard Philipe でしょう。授業では彼の最も若い頃の出演作である「肉体の悪魔」(1947)を鑑賞したのですが、それから現在に至る60年近くの間にこんなにきれいな顔をしたフランス男優はそう出現していません。1922年にカンヌに生まれ、40年代前半にスクリーンデビュー、そして59年に36歳の若さで世を去るまでに、彼は常に二枚目スターとしてフランス映画界で活躍していました。とりわけ前出の「肉体の悪魔」をはじめ、「パルムの僧院」「赤と黒」「危険な関係」といった文芸ものの主役や、「モンパルナスの灯」のモディリアニのような芸術家役などは、演技から滲み出るノーブルさも手伝ってはまり役といえます。一方で彼には、陽気でコミカルな役もお似合いで、その代表作はファンファン・ラ・チューリップを演じた「花咲ける騎士道」(1952)でしょう。この作品は近年ヴァンサン・ペレーズ主演でリメイクされましたが、やっぱり元祖ファンファンにはかなわないんじゃないかなあ〜。
私の好きなジェラール・フィリップの出演作は、その明るい一面が見られる「夜ごとの美女」(1952)です。周囲の人々や生徒たちに馬鹿にされる、貧しくてさえない音楽教師クロードが、夜ごとに見る夢のなかではさまざまな時代の美女たちと恋を楽しむ、というストーリーで、下町で暮らしているという設定ながらもどこか育ちのよさを感じさせる青年の役柄が楽しそうに演じられています。ルネ・クレール監督の映像や笑いのセンス(「昔はよかった・・」という老人のセリフとともに時代が逆行していくところなどは秀逸です)も冴えていて、コメディ映画の傑作といえるでしょう。「愛人ジュリエット」(1950)のような不幸な青年役(この映画も泣けます)や、「狂熱の孤独」(1953)のような汚れ役も魅力的ですが、南仏育ちの彼にはやっぱりこういう屈託なく若々しい役がぴったりだと思います。exquise@extra ordinary #2
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