2008年01月12日

2007年の3点(小説編)

前回に引き続き、今回は小説からベスト3を選んでみました。昨年は普段にも増して偏った読書をしていたし、昨年発表された作品に限定するとかなり限られた範囲になってしまうのですが・・



sur la dune.jpg第3位 Sur la dune (Christian Oster)

ご贔屓のクリスチャン・オステールは律儀にもほぼ毎年1作発表してくれるありがたい作家です。助けを求められて砂に埋まった友人夫婦の家を訪ねてみたものの、彼らはおらず泊まる場所も手配されていない。ホテルは満室で、見ず知らずの男と相部屋という羽目に陥るが、今度は別の部屋に泊まっていたその男の妻に惚れてしまう・・というオステールらしい独特の物語展開で、特に男との一夜の描写が笑えます。これまでの作品と比べると、文章がかなり難解で読みづらかったですが、それでもいつもながらのオステール節で、こちらの期待にじゅうぶん応えてくれました。


快適生活研究第2位 『快適生活研究』(金井美恵子)

もともとエラソーな文章を書く人が苦手なので、この人はずっと食わず嫌いの作家だったのですが、いざ読んでみるとどこから湧いてくるのか皆目検討がつかない絶大な自信にあふれた文章がかえっておかしくて、すっかり毒されてしまい、昨年の前半は作品を片っ端から集めて読んでいました。「目白四部作」と呼ばれる作品群の続編となるこの小説には、大したことも起こらない日常を舞台としながらも、個性豊か、というより強烈なキャラクターの持ち主が次々と登場し、よくもこんな人物ばっかり思いついたものだと作者の想像力に感心しながら読んでいました。とりわけアキコさんという女性が書いた手紙の章は、その無邪気そうな文章のあちこちにチクチクする針が顔をのぞかせていて、相手を励ましたいのか意気消沈させたいのかわからなくなるところがすごいです。


雪沼とその周辺 (新潮文庫 ほ 16-2)第1位 『雪沼とその周辺』(堀江敏幸)

この作品についてはこちらでご紹介したので同じことは書きませんが、今ふりかえってみてもこの小説に出会えてよかったなあと思える作品でした。最近本屋だけでなく、いろいろなメディアで堀江さんの名前をお見かけする機会が増えました。今彼はもっとも注目され、脂ののった(という表現はあまり彼には似つかわしくないように思うけれども)作家なのでしょう。



小説以外では、仏文学者である中条省平さんが日本の作家を論じた『反=近代文学史』が興味深かったです。泉鏡花、稲垣足穂といった気になる作家から、三島由紀夫や谷崎潤一郎のようなこちらが苦手とする作家まで、非常に魅力的に論じられていて、かつその論じ方もわかりやすい。「文学についての論文を書くときは、扱った作品を読者に読みたいなあと思わせるように書きなさい」と卒論を書くときに言われたものですが、まさにそのお手本となるような論文がそろっているので、これから文学関係の卒論を書く人は参考になさってはいかがでしょうか。中条さんの批評はほかにも『文章読本』などもおすすめです。


反=近代文学史 (中公文庫 ち 7-3)
中条 省平
中央公論新社 (2007/09/22)
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2007年12月29日

2007年の3点(映画編)

とうとう今年最後のエントリーになりました。そこで、前年と同じく1年を振り返って、今年何らかの形で発表された作品からベスト3を選んでみようと思います。まずは映画編。今年は去年よりは観た本数は多かったけれども、ハリウッド系に偏ったチョイスで、自ずとそれが表れる結果になりました。それでは第3位からご紹介しましょう。


第3位

littlemiss4.jpgリトル・ミス・サンシャイン(ジョナサン・デイトン/ヴァレリー・ファリス)


今年最初に映画館で観た作品がベスト3に入りました。ちょっと変わった家族の話は、最近ではそう珍しくないけれど、この一家はぶっとんだおじいちゃんを筆頭にかなりのインパクトがありました。ラストシーンには相当驚かされますが、我々の予想を心地よく裏切ってくれて、ある意味爽快です。子役のアビゲイル・プレスリンちゃんとお母さん役のトニ・コレット(今年のカンヌの審査員もしてましたね)の二女優ののびのびした演技が観ていて楽しいです。




第2位

casinoroyale.jpg007/カジノ・ロワイヤル(マーティン・キャンベル)

実は、これまで007シリーズをきちんと観たことがなく、この作品もニュー・ボンド役のダニエル・クレイグが賛否両論だったので、全く期待していなかったのですが、冒頭から盛りだくさんの見せ場で、スリルあり、アクションあり、ラブありと、これぞエンターテインメント!という内容で、意外や意外、何も考えずにひたすら楽しく観ることができました。紳士的ではないけれど、この新しい肉体派ボンド、私は好きです。「血の涙を流す」という色っぽい悪役のマッツ・ミケルセンもまたよし。そして、今回のボンド・ガールはフランス女優のエヴァ・グリーン。名前も素敵な彼女の可憐で繊細な存在感がこの作品の妙な男臭さを和らげてくれています。



第1位

zodiac2.jpgゾディアック(デヴィッド・フィンチャー)

2時間37分という長さながら、手の込んだ仕掛けや大どんでん返しがなくても、ダレることなく終始一貫した緊張感で一つの事件が見事に描かれており、作り手の映画への情熱とそれにじゅうぶん見合った力量が伝わってくる作品です。俳優陣も、抑えた感じながらも熱のこもった演技で、見終わった後も静かな興奮が覚めやらぬ経験を久々に味わいました。これまで面白い人だな、程度にしか思っていなかったフィンチャー監督ですが、今後どんな作品を撮ってくれるのだろうと動向が気になる作家になりました。



今年は興味深い作品を結構観ることができたように思います。来年はこれにヨーロッパ系やアジア系の映画もプラスしてさらに充実した映画鑑賞ができるようにしたいなあ。皆様にも面白い作品をいろいろご紹介できるよう努力いたしますので、来年もまたどうぞよろしくお願いいたします。


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2007年12月14日

Musique Pour l'Hiver 冬のための音楽

Info Base のほうで cyberbloom さんがクリスマス向けの音楽について投稿されていたので、私も考えてみたのですが、適当なものを思いつかず、範囲を広げて冬に聴きたい音楽を選んでみました。


Melody A.M「カフェのための音楽」でもご紹介したノルウェー出身の2人組ロイクソップ Röyksopp 。ホコリタケというキノコの名前をユニット名にした彼らの音楽は、寒さと暖かさ、無機的なものと有機的なものといった、相反する要素を同時に感じさせる、不思議なエレクトロ・ポップです。デビュー・アルバム「メロディーA.M. Melody A.M」は言うなれば厳寒の外の風景を眺めながら、暖かい部屋で聴いていたい音楽とでもいいましょうか(この表現前に使ったな・・)。同郷アーティスト、ベル・カント Bel Canto のアンネリ・ドレッカーや、キングス・オブ・コンヴィニエンス Kings of Convenience のアーランド・オイエなどゲスト・ヴォーカルの入った曲が特におすすめです。



Up All Night次におすすめしたいのは、ガラッと変わってアメリカはコロラド出身のヒップホップ・グループ、ザ・プロカッションズ The Procussions の2004年のアルバム「アップ・オール・ナイト Up All Night」。ラップというと、「ヨー、メーン!」というのをすぐイメージしてしまいますが、このアルバムは、即興的なジャズの生演奏に合わせて語る、というタイプのもので、非常に渋い音です(何と演奏も自分たちでしており、一夜のセッションをそのまま録音したようです)。ジャズの作品としてもじゅうぶん通用しそうな、シンプルでタイトな音もすばらしく、プライベートな夜のパーティーなどで流したら似合うであろう、クールでシックな作品となっています。



ノース・マリン・ドライヴ(紙ジャケット仕様)最後にこの時期一人でしみじみしたいときに聴きたくなるのがベン・ワット Ben Watt の1983年作「ノース・マリン・ドライヴ North Marine Drive 」です。彼は夫婦でのユニット、エヴリシング・バット・ザ・ガール Everything But The Girl での活動のほうが有名ですが、ソロ・アーティストとして(おそらく)独身時代に発表したこの作品は、アコースティック・サウンドの名盤です。奥方トレイシー・ソーンの生命力あふれる低音とは対照的な、頼りなげで繊細な彼の声とアコースティック・ギターのみで成り立つシンプルな音は、なぜか寒い季節になると懐かしくなってよく聴いています。冬枯れの景色に似合う物悲しい音なのだけれど、一方で 温かみも感じられるのは、やはりベンの声のもつ優しさゆえなのでしょうか。昔、このアルバムタイトルと同じ名前のファッション・ブランドがあったのだけど、たぶんデザイナーの人が彼のファンだったんだろうな・・


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2007年11月29日

今年のボジョレー

基本的には白ワイン党だし、ユーロも年々高くなっているので、今年はどうしようかと思っていたのだけれど、やはり「初物」という言葉につられて今年もボジョレー・ヌーヴォーを飲みました。去年ほど気合いが入っていなかったので、予約はせずに店頭にあったものを3本ほど買い求めました。今回トライしたのは3本とも、ノン・フィルター(濾過していない)タイプです。


beaujolais2.jpg
 
毎年恒例の、恩師 M 先生の研究室で飲むヌーヴォー。今年は有名レストラン、タイユヴァンが自然派農法で作ったもの Beaujolais Village Nouveau 2007 Les caves Taillevent(ラベルに BIO という文字が見えますね)を持参しました。グラスに注いだ瞬間からフレッシュな香りが漂い、「いい香りですね〜」という声が周囲から上がります。果実味が強く感じられ、コクも少々あってなかなか飲みやすい。つまみに持っていったカマンベールとクラコットとも合いました。5人で飲んだボジョレーはあっという間になくなり、たまたま先生の部屋にあったロゼワイン(これもすこぶる美味)も開けていただき、試飲というより飲み会と化した夕べでした。



beaujolais1.jpg

次は木箱入りというものものしい体裁の Beaujolais Village Nouveau 2007 Réserve Extrême Non Filtered (Maison Albert Bichot) を。これも開けたときの香りが爽やかでした。最初に飲んだタイユヴァンのものよりも、あっさりとしていて酸味が強く、まさにぶどうジュース、という感じ。単独で飲むよりも、食べ物に合わせると活きるように思ったので、クラッカーとチーズを出してきたら、やっぱり一段とおいしく感じられました。




beaujolais3.jpg

最後は店頭で試飲して選んだ Collin-Bourisset Beaujolais Village Nouveau。果汁が凝縮されているような、見るからに濃い色です。かすかにスパイシーな風味があります。これも果実味がしっかりと感じられましたが、時間が経過すると、それがさらにまろやかになって、味わい深くなりました。単独で飲んでもじゅうぶん楽しめるボジョレーでした。






今年のボジョレーは、去年よりも果実の味が強く、コクもほどほどあって飲みやすく思いました。つまりは2007年はワインの当たり年なのでしょうか、ほかのワインも2007年ものが楽しみになってきました。


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2007年11月16日

新作DVD情報「パリ、ジュテーム」

parisjetaime7.jpg気鋭の監督たちがパリを舞台にして制作した18本の短編映画から成り、昨年のカンヌ映画祭でも話題を呼んだ「パリ、ジュテーム」がいよいよDVD化されました。


タイトルからもわかるように、パリの街角で繰り広げられる「愛」の物語がテーマになっていますが、それは恋愛に限らず、親子の愛であったり、さらには街そのものへの愛であったりして、いろいろな「愛」のかたちが描かれ、登場する人々もそこに暮らす人々だけでなく、旅行者、移民、留学生などさまざまです。背景に登場するパリの姿も変化に富んでいて、場所や時間帯でこうも違うものかとあらためてこの街の奥の深さを実感します。


ジュリエット・ビノシュ、リュディヴィーヌ・サニエ、ファニー・アルダン、監督も務めたジェラール・ドパルデューといったフランスの俳優たち、さらにはウィレム・デフォー、ニック・ノルティ、イライジャ・ウッド、ジーナ・ローランズといったハリウッドの有名俳優たちなど、豪華な出演陣も魅力のひとつとなっています。


parisjetaime4.jpgこのオムニバス映画には、フランスはもちろんのこと世界の若手〜中堅どころの監督たちが参加しており、日本でもおなじみの名前も多く見られます。1人あたり約5分という少ない持ち時間ながら、彼らそれぞれの持ち味を発揮した作品がそろっています。移民の少女の現実を淡々と追うウォルター・サレス(「モーターサイクル・ダイアリーズ」の監督)とダニエラ・トマスによる「16区から遠く離れて」、何だかよくわからないがオリエンタルなムードいっぱいのクリストファー・ドイル(ウォン・カーウァイ作品の撮影で有名)の「ショワジー門」、夜の街に突如出現する吸血鬼を描いたヴィンチェンゾ・ナタリ(「CUBE」の監督)の「マドレーヌ界隈」などがその好例といえるでしょう。


日本からは諏訪敦彦監督が参加していて、幼い子供を亡くした母親を扱った彼の作品「ヴィクトワール広場」は、母親役のジュリエット・ビノシュの熱演と美しい夜のヴィクトワール広場の光景、そして物語の意外な展開も含めて、全体の中でも印象深い1本です。


parisjetaime6.jpg個人的に好きだったのは、やはりもともと好きな監督のものが多いのですが、不幸な目に遭う旅行者(演じるのはそういう役がぴったりのスティーヴ・ブシェミ)を皮肉たっぷりに描くコーエン兄弟の「チュイルリー」、「ハンニバル」のギャスパー・ウリエルと「エレファント」のイライアス・マッコネルといううっとりとするような美貌の青年たちの運命の出会いを描いたガス・ヴァン・サントの「マレ地区」、スピード感あふれる凝縮された映像に女優志望の少女(ナタリー・ポートマン)と盲目の青年(メルキオール・ベスロン)の美しいカップルが映える、トム・ティクヴァ(「ラン・ローラ・ラン」の監督)の「フォブール・サン・ドニ」などです。


そして、のほほんとした空気の中に乾いたペーソスが漂うアレクサンダー・ペイン(「サイドウェイ」の監督)の「14区」は、彼らしい気負いのない「パリ讃歌」で、最後にふさわしい作品といえるでしょう。英語なまりのきついフランス語で語られるアメリカ人女性のパリ滞在記は、どうということもないのに、じーんとさせる内容で、いいところもあれば悪いところもあるけれども、また訪れてみたい、と思わせるこの街の魅力をじゅうぶんに伝えてくれています。






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2007年11月02日

巴里の日本人(1) 森茉莉の巻

kiokunoe.jpg「ふらんすへ行きたしと思へども ふらんすはあまりに遠し・・」と謳ったのは詩人の萩原朔太郎です。この「旅上」という詩が収められた『純情小曲集』が発表されたのは1925年(大正14年)のことですが、当時は今と違ってヨーロッパへ行くのは物理的にも経済的にも大変な時代でした。しかし幸運にも憧れの洋行を実現した日本人たちもいたわけで、ろくなガイドブックもなく、言葉もおぼつかないなかでも、刺激的な滞在を送り、興味深い記録を残している者も少なくありません。今回は森鴎外の長女で稀代の文章家である森茉莉についてご紹介しましょう。


1903年(明治36年)生まれの彼女が、先に留学していた夫に合流すべく渡欧したのは1922年(大正11年)のことで、まだ19歳という若さでした。嫁ぐまで靴のひもを結ぶのも人にやってもらっていた(!)というお嬢育ちの彼女が、夫と二人だけのパリ暮らしをやっていけるのかと思いきや、この花の都に到着すると間もなく「毛虫が蝶になるようにしてなんとも面白い巴里女(パリジェンヌ)に孵化した」というのです。


夫が外へ出ている間はホテルの中にいるだけ(一人きりで外出したのはたった一回だけだったと言います)だったにもかかわらず、彼女はパリでの生活を心の底から満喫し、(滞在中父親である鴎外の死を知らされたときは別として)日本を恋しがることもほとんどありませんでした。百貨店で買い求めたつるしの洋服を嬉々として着こなし、夜な夜なオペラや芝居を見に出かけ、街中のレストランでおいしいものを食べ歩く毎日を楽しみました。ことのほか食いしん坊の彼女にとっては、レストランで味わうビフテキや牡蠣はもちろんのこと、ホテルで出されるカフェとパンという簡素な朝食でさえ、「胸が一杯になるほど楽しいもの」でした。


ソルボンヌ大学近くの安ホテルに下宿した二人を取り囲むのは、若いツバメを連れた婆さんや商売女たち、若い恋人のいるフランス語の先生などどこかいかがわしい人々ばかり。そしていくらぼんやりとした性格の彼女でも、つまらないことで議論したり、浮気っぽかったり、少しのお金でも出すのを惜しみ「貰うものはスリッパ片方でも喜ぶ」(!)くらいケチだったりする、パリジャンたちの様々な側面がわかってくるのですが、それに幻滅するどころか、彼らの自由で、粋で、人生を謳歌する姿に共鳴して「パリが自分のほんとうの国であり、自分のほんとうのいる場所である」と感じるまでになるのです。


滞在を終えて1923年に帰国した彼女が、1987年に84歳の生涯を終えるまで「自分のほんとうの国」に戻ることは二度とありませんでした。しかし、約一年半のパリでの生活はその後彼女の人生に大きな影響を与えたのは間違いありません。彼女がパリでの思い出を『記憶の繪』と題して文章にまとめたのは実に60歳を過ぎてのことですが、40年以上も前の出来事がまるで昨日あったことのように鮮明に語られています。またお金は持っていなくとも、「貴族」的な精神をもち、上等な生活をする術を披露した「贅沢貧乏」など、彼女の珠玉の文章そこここに、パリで培われた感性が花開いています。


記憶の絵 (ちくま文庫)
森 茉莉
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5 明治・大正時代に思いをはせました



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2007年10月19日

ゴチになります!

TS350017.jpg「かんたんフレンチレシピ」を投稿してくださっている mandoline さんとは、小学校からの友人です。先日、同じく小学校以来の友人 J さん宅でお料理教室が開かれ、これもまた仲のよい S ちゃんもやって来る、というので「試食係」(笑)と称して参加してきました。


12時過ぎに J 家へ到着すると、すでに10時から準備を始めているという mandoline さんは、S ちゃんを助手にお料理の仕上げにかかっていました。これまでにも何度か彼女のお料理を食べさせてもらっているのですが、複数の料理を並行して仕上げる手際のよさにはいつもながら感心してしまいます。私はただほお〜っと眺めているだけで、まったく何も手伝わないままテーブルで J 家のワインを失敬しているというありさま。



TS350018.jpgそうしているうちに、すべてが完成して次々とお料理がテーブルに登場してきました。まずは「リヨン風トマトのロースト」。ウィンナーなどの詰め物をしたトマトに卵のソースをかけてオーブンで焼いたものです。くずすとトマトの果汁がたっぷり出てきてジューシーなお味です。これをバゲットに吸わせていただくのもまた一興。




TS350019.jpgお次は「いろいろキノコとピリ辛トマトソースのカサレッチェ」。2本のスパゲッティがくっついたような、日本ではあまりお目にかからないパスタを使用。断面がS字型になっていて、10センチ以上あるのでショートパスタにしてはとても食べごたえがあります。みじん切りにしたサラミのだしが効いたソースがからめてあって、キノコも大好きなので、おかわりして頂いてしまいました。



TS350020.jpgそしてメインの「鶏もものソテー、イタリアンソース」。ケッパーやアンチョビを使ったソースが鶏の味を引き立たせていてこれもまた美味。ワインのあてにもぴったりです。鶏肉も外側がぱりっとして内側が柔らかい、と絶妙でいくらでも頂けそうでした(友人たちのいる手前、自制してました・・「もっとくれ!」とわがまま言えばよかったかしら)。


皆に会うのも久しぶりだったので、話に花が咲き、あっというまに時間が過ぎていきました。おいしいランチをありがとう、mandoline さん。またごちそうして頂くのを楽しみにしています。レシピのほうはまたいつの日かここに公開して下さると期待しています。それにしても、人の作ってくれるごはんはどうしてこうもおいしいのでしょうか。毎日でもそういう気分を味わいたいものですな〜。




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2007年10月05日

アート遠足 モエレ沼公園の巻

moere1.jpgこの夏休みの終わりに、初めて北海道を旅する機会を得て、念願のモエレ沼公園へ行くことができました。


住宅街を抜けるとすぐに巨大な駐車場に到着。そこへレンタカーを止め入場です。広大な敷地だということで、今度は自転車を借りていざ公園へ。


東側の入口から入ったので、右手にガラスのピラミッドが見えてきました。ここはレストランや展望台などのある休憩施設なので、最後に寄ることにして、まずはちょうど運転中の「海の噴水」へ。円形に湧き出る噴水はどことなくSFチックだなあと思っていたら、今度は垂直に水が吹き上がりました。壮大な眺めに見惚れていると、強い雨が降りだし、急遽ガラスのピラミッドへ避難。


moere2.jpgピラミッド内部はまるでモダンな美術館のように白で統一された空間でした。上階には小さなギャラリーもあって公園の概要やイサム・ノグチの活動が紹介されています。偶然ファッション雑誌の撮影場面に出くわしましたが、どこにモデルさんが立っても絵になるような建物でした。


雨もどうやら止んだので、再び自転車で出発です。「サクラの森」と呼ばれる方へ進んで行くと、ところどころで小さな遊び場を通過することになるのですが、そこに設置してあるブランコだのすべり台だののひとつひとつがえらくカッコいい。どこぞで見たイサム・ノグチの彫刻の縮小版も置かれているのだけれど、それがまた子供用の遊具としても見事に成立しているのです。

 
「サクラの森」を抜けると、美しく刈り込まれた芝生が目の前にぱあっと開け、幾何学的な山々や、モニュメントが見えてきます。「公園をひとつの彫刻にする」というイサム・ノグチの構想どおり、ここでは自然の素材と金属やガラスといった無機物を組み合わせた巨大な芸術作品が実現されていました。一方でそれらの造形がピラミッドや古墳をイメージさせるので、遺跡に入り込んだような不思議な気分にもなりました。


moere3.jpg「プレイマウンテン」と呼ばれる山に登ってみました。頂上まで行けるのかと最初は不安でしたが、意外とすんなりとたどりつきました(最初に思いっきりこけたけど・・)。雨が降ったときはどうなることやらと思っていましたが、最後には美しい青空のもとで公園を一望することができました。虹のおまけまでついて。


「芸術作品」というととても敷居が高い感じがするけれど、モエレ沼公園は入場料は無料で、ペットも連れていけるし、夏にはビーチで水遊び、冬は山でスキーやソリ遊びが楽しめ、野球場、陸上競技場やテニスコートでスポーツをすることもできます。各施設でさまざまなイベントも企画されていて、10月の予定表には「結婚式」というのもあり、観光客だけでなく地元の人々にも親しまれているんだなあと思いました。


あとで調べてみたら、ガラスのピラミッドの夏の冷房の一部には、冬に蓄えられた雪を用いるなど、環境への配慮も見られ、見てくれだけでなく見えないところでも「がんばってる」公園なのでした。また違う季節に行ってみたいです。


モエレ沼公園公式ページ



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2007年09月21日

『雪沼とその周辺』

yukinumaB.JPG仏文学者でもある堀江敏幸さんの短編集『雪沼とその周辺』は、最近読んだ現代日本文学作品のなかで最も記憶に残る小説です。


雪沼という架空の町のまわりで、小さなボーリング場やレコード店、中華食堂、書道教室などをひっそりと営む人々の暮らしが、取り立てて大事件が起きるわけでもなく静かに語られます。しかし淡々とした文章にはしばしば過去の回想が織り交ぜられ、実は彼らは決して平穏とはいえない年月を送ってきたことがわかってきます。仕事上の悩み、肉親との離別、身体的なコンプレックスといった問題を抱えながら、彼らはそれでも自分の仕事に真摯に取り組みつつ、現在に至ったのでした。


人生にはいろいろある、という当たり前のことをしみじみと納得させ、かつそれを変に強調することもなく穏やかに描ききる、堀江さんの文章力が冴え渡っています。堀江さんのそれまでの作品は、静かながら蛇行するような長い文章が特徴的で、以前にご紹介したトゥーサンやオステールのそれを連想させるため、日本語でちょっと前衛的な現代フランス文学を読んでいるような気分になりました。それがこの『雪沼』ではかなりシンプルな文章になり、それだけ親しみやすさが増したように思います。


また職業柄、ということもあるのでしょうか、過去の作品のなかには文学的な脱線がしばしばあり、それが時としてマニアックな内容になっていたりするので、少々取っつきにくいところがありましたが、この作品では、そういった面はほとんど見られません。唯一フランスの作家、アラン・フルニエが話題にのぼる一編がありますが、物語の最後の展開に非常に効果的に使われる小道具となっていて、全く嫌みを感じませんでした。


作品に一貫して感じられるのは、登場人物たちに対する堀江さんの穏やかでやさしい視線です。それは特に主人公が周囲の人々に向ける視線に重なり、彼らの交流の描写は、何がどうというわけではないのに、妙にじんとくるものがあります。冒頭の「スタンス・ドット」や「レンガを積む」「ピラニア」などがそのよい例です。もちろんその他の短編もすばらしく、久しぶりに読み進めるのが惜しく思えるような作品に出会えて嬉しい夏でした。



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5 初めての感触
4 心地よい刺激に満ちた作品集
5 静かでひっそりとした読書の愉しみ



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2007年09月07日

いまさら音楽バトン

かつての Cyber French Café (この名称も懐かしくなりました)時代は、いろんなバトンがネット中を行き交っておりましたが、今でもそれらのバトンたちは方々をまわっているのだろうか。そのとき書いた音楽バトンのデータが失われてしまったそうなので、今回新たに考え直してみました。

1)最近よく聴く曲(ベスト3:順不同)
1 Young Folks (Peter Bjorn and John)

ふだんは iPod Shuffle でランダムにまんべんなく曲を流しているので、「よく聴く」という感じのものがない。強いて言うならこのスウェーデンの3人組の曲か。最近某缶コーヒーのCMに使われ、あの印象的な口笛がしょっちゅうTVから聞こえてきます。


2)最後に買ったCD

Garage 66-70 Garage_Sessions #6

20年くらい前ラジオで聴いた曲の音源を探しに探していたら、3年ほど前にCDが再発されたことを最近知り、やっと手に入れました。タイトルが示すように、1966〜70年の間に発表されたロックの名曲をフランスのバンドがカヴァーしたものです(元は1985年発売)。ピンク・フロイドの “See Emily Play” だの、ストゥージズの “I Wanna Be Your Dog”だの、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「毛皮のヴィーナス」だの、この3年の間にものすごい曲が色々作られていたんだなあ〜。ちなみに聴きたかった曲はデヴィッド・ボウイの “In the Heat of the Morning” で、オリジナルのクールなイメージとは180度違う暑苦しさ。Mome Rath という人たちがやってます。

ライターズ・ブロック Talkie Walkie

3)特に思い入れのある曲(ベスト10:順不同)

前回は14曲も選んでいたので、今回は絞りに絞って11曲に(10曲にしようと思ったのにやっぱり1曲はみでた)。

1 Going Up (Echo & the Bunnymen)
2 Club Country (Associates)
3 A Nice Cup Of Tea (Captain Sensible)
4 Love At First Sight (The Gist)
5 At Last I Am Free (Robert Wyatt)
6 Extra Ordinary (Ultra Vivid Scene)
7 The Mercy Seat (Nick Cave & The Bad Seeds)
8 Seagull (Ride)
9 Everyone Everywhere (New Order)
10 Reaching Out (Matthew Sweet)
11 There, There (Radiohead)

1と8は、それぞれのデビューアルバムの最初の曲で、若々しい高揚感を覚える。2は中学生のときに出会った、「思い入れ」のある最初のバンド。3は元気をもらいたいときに聴きたくなる曲。6は個人のブログタイトルに選んだくらい好きな曲。7と11はずしんと胸に深く響く。4、5、9、10は涙腺刺激系。夜中にしんみり聴いていると泣けてきます。


4)フランス系の好きな曲(ベスト3:順不同)
1 Universal Traveller (Air)
2 Charlotte Forever (Charlotte Gainsbourg)
3 Www.com (Arthur H)

1のエールはフランス・ダウンテンポの代表格。脱力したいときに最適。2は、セルジュ&シャルロット親娘が歌う妖しい愛のデュエット。3はゲンズブールの後継者、もしくはフランス版トム・ウェイツと言われる人で、数年前日本のシャンプーのCMに別の曲が使われて知りました。この曲はタイトルが示すがごとく、ネット上の恋愛を歌ったもので、どうやらそのお相手は日本人の女の子。時折流れてくる日本人女性とおぼしき日本語とフランス語両方でのナレーションが非常に色っぽいです。



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2007年08月24日

シュルレアリスムの夏

surrealismto.jpg私の名付け親は絵の先生で、幼い頃、アトリエに遊びに行っては山積みにしてある色々な画集をひっぱりだして眺めているのが好きでした。子供心に惹かれたのは、印象派のような色彩の美しい絵よりも、ミロやダリやエルンストといった「何だかわけのわからない」絵でした。落書きのような奔放なミロの作品を見ていると愉快になってくるし、写真のようにリアルで、しかも人の手足が伸びたり縮んだり、トラだの蟻だの溶けたような時計だの出てくるダリの絵は、怖くて仕方がないけれど、しばらくするとまた見たくなってそーっと本を開いてしまうのでした。


今でもシュルレアリスムの絵画を見ると、その頃に覚えたのと同じ気持ちになります。何を言いたいのか意味が探し出せない不安と、同時に心の奥底を覗かれたかのような当惑、そしてあまりにもの突拍子の無さに逆にこみ上げてくるおかしさ・・ この芸術運動が芽生えてから80年以上が経過しているのに、その作品は今なお新鮮です。


普段見慣れたものも、思いも寄らぬ状況下に集められると、我々はとまどってそれらの関係を理解しようとします。そのように何でも合理的に解釈しようとする我々を笑い飛ばすかのように、シュルレアリスムは次から次へと不思議な作品を提供してきました。そして合理性や「こうでなければならぬ」といった偏見から解き放たれた自由な想像力が存在することを、教えてくれたのです。


eichhoernchen.jpg今年はシュルレアリスムに関する展覧会が日本各地の美術館で多く開催されています。現在は愛知県の豊田市美術館「シュルレアリスムと美術ーイメージとリアリティーをめぐって」と題された企画展が催されていて、先日見学してきました。


決して大規模ではありませんが、シュルレアリスム、およびその周辺の芸術家たちの作品がまんべんなく集められ、この芸術運動の流れがコンパクトにまとめられています。なかでもルネ・マグリットの作品は、有名な「大家族」をはじめ、注目すべき絵画が多く見られました。ダリの3点からなる大きな連作には圧倒されましたし、メレット・オッペンハイム(写真中)やジョゼフ・コーネルのオブジェは小さいながらも印象的でした。


toyotam.jpg豊田市美術館は、ニューヨーク近代美術館の新館を設計した谷口吉生による建築自体をも楽しめる美術館です。緑と水に囲まれて静かにそびえている建物の外観、そして開放的で繊細な内部空間の設計を、展示作品とともにぜひ味わっていただきたいです。現代美術を中心とした常設展示もなかなか面白いので、この夏休みにちょっと遠くまで足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。


「シュルレアリスムと美術」展は9月17日までの開催です。9月15日からは、姫路市立美術館「シュルレアリスム展 謎をめぐる不思議な旅」展が始まります。こちらはまた別の企画展で、違った観点でまた他の作品が集められています。この美術館も、れんが造りの素敵な建物なので、建築ともども展示作品を楽しんできたいと思っています。


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2007年08月10日

夏のための音楽  MUSIQUE POUR L'ETE

日増しに暑さが厳しくなってきました。個人的に夏には、逆に暑苦しい音楽を聴く(極めつけはジェイムズ・ブラウン)のも好きなのですが、これは万人におすすめできるものではないので、今回は涼しい気分になるアルバムを3枚ご紹介します。


tropicalia2.jpgまずは、『トロピカリア 2  Tropicalia 2』(カエタノ・ヴェローゾ/ジルベルト・ジル Caetano Veloso/Gilberto Gil)。もろボサノヴァというのは普段あまり聴かないのですが、このアルバムは実験的な試みがとても面白く、発売から10年以上たった今でもよく聴いています。

それぞれブラジルでの長いキャリアのなかで革新的な音楽を追求してきたカエタノ・ヴェローゾとジルベルト・ジルの共作として、68年に発表された『トロピカリア』から25年ぶりに制作されたもので、ポップス、ロック、ヒップホップなどさまざまなジャンルの音楽と組み合わされた、アートとも呼べるような斬新な作品です。

ジミ・ヘンドリックスの "Wait Until Tomorrow" のカヴァーや、少しひねくれた感じの旋律が特徴的な "Haiti" "As Coisas" "Dada" といったオリジナル曲など、前衛的とはいえポップで聴きやすい曲ばかり。1993年の創作当時50歳を超えていたとは思えないほどの2人の柔軟性をぜひ味わっていただきたいです。国内盤は残念ながら廃盤ですが、輸入盤では入手可能です。


ivorytower.jpgお次は『アイボリー・タワー Ivory Tower』(ルイ・フィリップ Louis Philippe)。80年代半ばにイギリスで設立されたエル él は、ちょっと懐かしい感じの良質なポップスやロックのアルバムを産出し、本国よりも日本で人気があったレコード・レーベルでした。

そのレーベルの看板アーティストだったのがフランス出身のルイ・フィリップ。大学教授のような風貌からは想像もできないような、甘く爽やかな歌声の持主で、ロマンティックなアルバムを数多く発表していました。1988年発表のこの作品は、ビーチ・ボーイズのカヴァー "Guess I'm Dumb" のほか、キラキラした可愛らしい曲の詰まった宝石箱のようなアルバムで、夏の昼下がりに聴きたくなります。


bird&bee.jpg古い作品ばかりなので、最後は最近のものを。フジ・ロック・フェスティバル出演者のプロモーション・ヴィデオを観ていたら、60年代風のキュートな曲が流れてきました。それは ザ・バード&ザ・ビー The Bird And The Bee という男女2人組の "Again & Again" という曲で、関東のFM局ではヘビー・ローテーションになっていたそうですから、お聴きになった方もいるかもしれません。

ジャケットも愛らしいこのアルバム『ザ・バード&ザ・ビー The Bird And The Bee』には、そのほかにもお洒落で素敵な曲が揃っていて、ヴォーカル担当の女性、イナラの声が耳元に涼しげに響きます。多分にヨーロッパの香りがする一枚ですが、意外なことに2人はロサンジェルス出身でアルバムはブルーノートから発売。上記のエル・レーベルの音や、カーディガンズなどのガーリー・ポップがお好きな人にはおすすめです。


まだまだ暑さは続きそうですが、クールな音を聴いて頭の中だけでも涼しくなりたいですね。ご希望があれば、暑苦しいバージョンもご用意いたしますけれども・・



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2007年06月29日

新作映画情報「ゾディアック」

zodiac_ver2.jpg今年のカンヌ映画祭コンペティション部門に出品され好評を得た、デヴィッド・フィンチャー監督の「ゾディアック」が日本でも公開されたので観に行きました。


1969年、ドライブ中のカップルが銃撃され、女性が死亡する事件が起き、警察に「自分がやった」と電話がかかってくる。その後、新聞社に「ゾディアック」と名乗る人物から、犯行の内容を語る手紙と暗号文が次々に届き、同時に新たな殺人事件も発生する。担当の刑事(マーク・ラファロ)、新聞記者(ロバート・ダウニー・Jr.)、そしてその新聞の風刺漫画家(ジェイク・ギレンホール)は、それぞれ事件を追っていく・・この映画は実際にアメリカで起きた未解決の連続殺人事件を扱ったものです。「ブロークバック・マウンテン」の色っぽいジャック役だったジェイク・ギレンホールが、一転して地味で真面目な青年を演じています。


手書きの手紙を多数新聞社に送りつけ、警察や関係者の自宅に電話をかけたり、果てはテレビの身の上相談にまで出演しようとするなど、メディアを大胆に利用した犯行で、目撃者もいれば遺留品も多く残しているのに、犯人への手がかりはなかなかつかめません。それはゾディアックが用意周到で、巧みに人々を翻弄したこともありますが、別の要因として警察の中での連携の悪さ、メディアの報道による混乱も描かれています。


zodiac4.jpgそれぞれの地域の警察が情報をうまくやり取りしなかったことで、犯人に接触する機会を逃してしまったり、ゾディアックからの手紙の内容をテレビで流したために世間がパニックに陥ったり、警察から情報を得られないまま自己判断で犯人像を仕立て上げた新聞記者が今度はゾディアックの標的となってしまったりする状況は現在起こったとしても全くおかしくないわけで、とても40年近く前の事件だとは思えない生々しさが伝わってきました。そして皮肉なことに、解決に一途の光が見えてくるのは、世間が事件を忘れ去ろうとしたころ、依然として関心を持ち続けていた風刺漫画家が、警察と「陰で」連携して独自に調査を進めたときからなのです。


心身ともに疲れ果てて異動を願い出る刑事、ドラッグやアルコールに溺れる新聞記者など、この事件の捜査から脱落していく者たちが出てくるなか、利害関係にとらわれず単なる好奇心からアプローチした風刺漫画家だけが、「生き残り」ます。取り憑かれたように事件のことばかり考えている夫に不安を感じる妻から問いただされて、彼がゾディアックを追う目的を語る場面、そしてついに彼がその目的を果たす場面は、静かながらも高揚感を覚えます。


zodiac3.jpgこの作品を観た人たちの感想をネットで見たところ、「退屈だった」という意見が多くて驚きました。たしかに監督がこれまで撮ってきた「セブン」「ゲーム」「ファイト・クラブ」などと比べれば、派手な展開もなければ、大どんでん返しといったサプライズも見当たらず、そういった内容を求めた人には期待はずれの映画でしょう。しかしながら、余計な小細工や無駄に感情的な部分を省いた正攻法で真摯な撮り方、タイトな物語構成、丁寧に再現された70年代の空気がすばらしく、私には2時間37分の上映時間があっという間に思えました。


ゾディアックが送った手紙には、「自分の映画を作れ」という要求も書かれていました。実際この事件を扱った映画は過去に作られ、またこの事件を題材にしてクリント・イーストウッド主演の「ダーティー・ハリー」も制作されました(この映画の中でも一部が流れます)。今回また映画が制作されてその要求に応える形になったわけですが、ゾディアックそのものよりも、彼を追う人々に焦点を置くことで、犯人の思惑から外れた作りにしてある点に、フィンチャーらしいヒネリが感じられます。


ゾディアック公式ページ(ちょっと重いです)



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2007年06月14日

フランス映画好きに捧げる非・フランス映画(4)ー「マルホランド・ドライブ」

mulholland_drive_ver1.jpg怖い映画は巷にたくさんあれど、私にとって最も恐ろしいのは、デヴィッド・リンチの映画です。「ロスト・ハイウェイ」(1996)みたいに、何者かが自宅を撮影したビデオテープを次々と送りつけてくる・・なんて考えたら、気が遠くなりそうです。長編デビュー作「イレイザー・ヘッド」(1976)に至っては、ビデオで手元にあるものの怖くて手が付けられません。リンチ作品は、わかろうとしてもどうにも理解できない、そのような不条理な恐ろしさが満載です。けれども観終わった後ではまたその不可解な世界をまたかいま見たくなる、というどうにも不思議な魅力をも兼ね備えているのです。今回ご紹介する「マルホランド・ドライブ」(2002)を観た後も、あれこれ考えてしまってなかなか眠れなかったことを覚えています。皆さんもデヴィッド・リンチ監督の仕掛けた美しい迷宮をご覧になってはいかがでしょうか。


女優になる夢を抱いてハリウッドにやってきたベティ(ナオミ・ワッツ)は、下宿する叔母のアパートに忍び込んでいたリタ(ローラ・エレナ・ハリング)と出会う。リタは何か事件に巻き込まれたらしいのだが、記憶を失っており、手持ちのバッグには大金と青い鍵が入っている。優しいベティは彼女の足跡をたどろうとする一方で、女優としての才能も開花させる・・


mulhollanddrive2.jpgと、ここまでの物語はよくあるサスペンス映画のようですが、後半からナオミ・ワッツはダイアン、ローラ・エレナ・ハリングはカミーラと役名が変わり、雰囲気も一変、ダイアンは恋人であるカミーラに裏切られ、人に頼んでカミーラを殺してしまい、女優としてもパッとすることなく人生にも絶望している状態です。全く違う物語に見えながらも、ベティとダイアンには共通点もあるし、前半の登場人物が名前や性格を変えて再び現れるなど、混乱を招く展開になっています。


この前半と後半をどう受け止めればよいのでしょうか。あまり説明すると映画の面白さが半減してしまいますので、いくつかヒントを挙げておきましょう。

1 映画冒頭部にナオミ・ワッツが眠っている場面がある

2 「目覚めよ」というセリフ

3 前半部の物語がベティに都合よく展開する

さらに、前半の登場人物やモノが、後半では違う人物やモノに「置き換え」られているといえば精神分析を少しでもかじった方なら、ははーんと思われることでしょう。そこで再度映画を観直すといろいろと「見えてくる」わけで、「マルホランド・ドライブ」はデヴィッド・リンチ作品のなかでもかなり「わかりやすい」ほうだといえます。


mulhollanddrive1.jpgしかし、ひとつの読み方だけではすっぱりと理解できないのが彼の持ち味です。上のヒントをもとにひとつの解釈を試みても、あれこれの要素がぴったりと合わさらず、必ずそこからはみでる部分が出てきて、やっぱり「わけわからん」状況に陥ってしまいます。でもそうやって、ああでもないこうでもないと頭を悩ませながら、個性的な俳優たちやリンチ作品におなじみの小道具が醸し出す怪しげな雰囲気を楽しむのがよいのかもしれません。


タイトルになっている「マルホランド・ドライブ」は実在する道の名前で、ハリウッドを一望できる高みにあり、リンチ監督が作品をこの映画の都に捧げていることを暗示しています。それは前半部の2人の女性の名前ベティとリタが、ベティ・デーヴィスとリタ・ヘイワースという往年のハリウッド大女優を思い出させることからも明らかで、映画への情熱に燃えて集まってくる数えきれないほどの人びとが味わう成功と挫折を描いた作品という見方もできます。


デヴィッド・リンチはフランスから愛されているアメリカ人監督でもあります。この「マルホランド・ドライブ」もテレビドラマを想定して制作されたものの、内容の過激さゆえにアメリカの会社から配給を拒まれていたところ、救いの手を差し伸べたのはフランスのテレビ会社 Canal Plus だったのでした(というわけで、厳密に言うと「非・フランス映画」ではないのですが・・)。そうしてできあがった作品は、カンヌ映画祭で監督賞を獲得しました。フランスは近年のリンチ作品制作にも多く関わり、監督はカンヌの常連になっています。


さて、4年のブランクを経て昨年発表された最新作「インランド・エンパイア」はついに日本でも7月公開予定となりました。今回も映画がテーマの作品で、なんと3時間の大作! またしても妖しく美しいリンチ・ワールドに悩まされそうです。


マルホランド・ドライブ
ポニーキャニオン (2002/08/21)
売り上げランキング: 9420
おすすめ度の平均: 4.5
5
観終わった時の満足感も疲労感も最高レベル
5 よく見て!


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2007年05月31日

カンヌ映画祭 その他の注目作品

tommy_lee_jones.jpgハイライトやウェブの記事などを見て興味を覚えた、受賞作以外の作品の話をいくつか。

コンペ作で個人的に観たいなと思ったのは、コーエン兄弟、ガス・ヴァン・サントの2作のほか、クリストフ・オノレの Les chansons d'amour 、ラファエル・ナジャリの Tehilim などでした。

「10年ぶりの傑作」とまで言われたコーエン兄弟の作品は、西部を舞台にした犯罪映画で、トミー・リー・ジョーンズ、ハビエル・バルデム(髪型が見もの)などが出演(写真上)。「バートン・フィンク」や「ファーゴ」のあの静かな興奮がまた甦るのではないかと期待しています。

Les chansons d'amour は、タイトル通り登場人物たちがしばしば自分の気持ちを歌で表現する恋愛映画で、映画の一部を見た感じでは、ジャック・ドゥミやフランソワ・トリュフォーなどの作品を想起させます。ルイ・ガレル、リュディヴィーヌ・サニエ、キアラ・マストロヤンニといった配役も魅力的で、日本でも当たりそうな予感です。

Tehilimjpg.jpgTehilim はエルサレムを舞台に、突然姿を消した父親を探す少年たちを描いたもの(写真中)。子供たちの表情が悲しい。
他にも、シュールなスチール写真にインパクトを感じるウルリッヒ・ザイドルの Import Export 、緊張感の漂う映像に美男俳優チャン・チェンが映えるキム・ギドクの Soom (Breath)(写真下)なども気になりました。


コンペ外でも話題作が色々出品されました。マイケル・ムーア監督がアメリカにおける医療の実態を告発した Sicko は観客から盛大な拍手を受けていましたが、キューバでの無許可撮影を理由に本国での公開が危ぶまれているようです。

ほかにはブラッド・ピット製作、アンジェリーナ・ジョリー主演で誘拐されたジャーナリストの妻を描いた A mighty heart(マイケル・ウィンターボトム監督)、ロックバンドU2のライヴを立体的に楽しめる U2 3D(キャサリン・オーウェンズ/マーク・ペリントン監督、カンヌではU2本人たちがレッド・カーペットでパフォーマンスも披露)などは、日本でも話題を呼びそうです。

souffle.jpg個人的には、オリヴィエ・アサイヤスの Boading Gate が観たいです。監督曰くフランスと香港を舞台にした「B級映画」で、このところの活躍が目覚ましい女優アーシア・アルジェントのために作られた作品だそう。でも、この監督の作品は日本ではなかなか公開されないので、字幕付きで観られるのは難しいかもしれません。

日本では何と言っても松本人志監督の「大日本人」が最大の注目になっていましたが、この作品を取り上げた記事をフランスのサイトからはなかなか見つけられず、プレスの評価がどうなっているのかは謎のままです。


第60回ということで、今回はさまざまなイベントが催されましたが、なかでも35人の監督たちのオムニバス映画 Chacun son cinéma は大きく注目されました。ここにはもう一人話題を集めた日本人監督、北野武が参加。彼のちょんまげ姿(躊躇していたところ、ヴィム・ヴェンダースやウォルター・サレスにそそのかされたのだそう)が世界に配信されました。1人あたり3分(短い・・)で、「映画」をテーマに作品が作られたそうで、オムニバス映画は時として1つ1つの作品に物足りなさを覚えてしまうことが多いのですが、これだけの数の名監督を集め、それぞれの映画への思いを表現させる、という狙い自体はとても興味深いですね。35作品の中から、デヴィッド・リンチ作品が、開会式に上映され、相変わらずのぶっとびぶりに会場は不思議な空気に包まれましたが、凝縮されたエネルギーを感じました。


さて、お祭りも終了し、あとは公開を待つのみです。今回ご紹介した映画のいくつが、日本で公開されるのでしょうか。1本でも多く観られることを期待しています。


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2007年05月29日

カンヌ映画祭 結果発表

cannes-mungiu.jpg今回のカンヌのコンペティション部門は、社会的な問題を扱った作品が多かった前回とは違って、ヴァラエティに富んだ映画が集められ、「映画を観ること、映画を作ることの楽しさ」に立ち返っている印象を全体から受けました。
スカパーで毎日放映されていたハイライトや、カンヌ関係のウェブサイトを見ながら、各賞を勝手に予想するのもまた楽しいことです。観客やプレスの受けなどを検討すると、Le scaphandre et le papillon (ジュリアン・シュナーベル)、Persepolis (マルジャン・サトラピ/ヴァンサン・パロノー)、No country for old men(コーエン兄弟)、Paranoid Park(ガス・ヴァン・サント)などの評価が高かったようです。またフランスでも17日に一般公開されたばかりの Zodiac (デヴィッド・フィンチャー)、ルーマニアでの中絶問題を扱った 4 Luni, 3 spatamini si 2 zile (クリスティアン・ムンギウ)も大きな関心を集めていました。
もっとも終わりの方に上映された作品などの批評はまだ公になっているものがそう多くないので、結果がどうなるかを予測するのはなかなか難しい(もちろん各作品を観ているわけでもないし・・)。


と、ここまでは授賞式前に書いたもの。27日コンペティション部門の授賞式が行われ、各賞が発表されました。スカパーで生中継を見ていたところ、レッドカーペットにガス・ヴァン・サントや河瀬直美監督(写真中)らの姿を発見し、一挙に興奮が高まりました。以下に結果をお伝えします。


cannes-kawase2.jpgカメラ・ドール:Meduzot(エトガール・クレット&シーラ・ゲフィン)
さらに特別賞として:Control(アントン・コービン)

審査員賞:Persepolis(マルジャン・サトラピ/ヴァンサン・パロノー)
     Stellet Licht (Lumière silencieuse)(カルロス・レイガダス)

最優秀男優賞:コンスタンチン・ラウロネンコ(作品:Izgnanie (The Banishment)(アンドレイ・ズビャギンツェフ監督)

最優秀女優賞:チョン・ドヨン(作品:Secret Sunshine(イ・チャンドン監督)

最優秀脚本賞:ファティ・アキン(作品:Auf der anderen seite (The Edge Of Heaven))

最優秀監督賞:ジュリアン・シュナーベル(作品:Le scaphandre et le papillon)

60回記念賞(特別賞):ガス・ヴァン・サント監督の今までの功績と今回の出品作 Paranoid Park に対して

グラン・プリ:『殯(もがり)の森』(河瀬直美)

パルム・ドール:4 Luni, 3 spatamini si 2 zile (4 mois, 3 semaines et 2 jours)(クリスティアン・ムンギウ)


「映画を作り続けてきてよかった」という河瀬監督の第一声が印象的でした。『殯(もがり)の森』は奈良を舞台に妻に先立たれた認知症の男性を扱った映画で、「作品に非常に自信を持っている」と監督自ら述べていた作品だけに、喜びはひとしおでしょう。
ガス・ヴァン・サント監督が60回を記念する特別賞に選ばれたのも嬉しいことです。作品を発表するたびに招かれる彼は、「カンヌに愛されている監督」なんだなあと実感しました。Paranoid Park において、彼は再び若者たちの心理を描く映画に取り組み、しかも撮影はウォン・カーウァイ作品でおなじみのクリストファー・ドイル、ということでこれまた公開が待ち遠しい。監督が起用する少年少女たちは雰囲気がある人が多いのですが、今回主演のゲイブ・ネヴィンス(映画初出演)も印象深いまなざしをたたえた若者でした。
最高賞パルム・ドールは、ルーマニアの監督クリスティアン・ムンギウが獲得しました(写真上)。4 Luni, 3 spatamini si 2 zile は、並行して与えられる各賞をほかに2賞受賞しており、以前から注目を集めていたこの若い監督(68年生まれ)への評価の高さがうかがえます。


persepolis.jpgまた審査員賞に選ばれた Persepolis(写真下) も、プレスの評判が非常に高い作品でした。イラン出身でフランス在住のマルジャン・サトラピが、自らの体験をもとにして制作したアニメーション(!)で、カトリーヌ・ドヌーヴなど、豪華な声優陣も話題になりました。戦争の最中、イラクからフランスへ移住した女の子の冒険物語、ということで、内容のわりにとてもポップな感じがして、とても興味深かったです。


新人監督作品に贈られるカメラ・ドールの特別賞に輝いた Control もほかに複数の賞を獲得していた好作品のようです。監督のアントン・コービンは、UKロック好きには有名な写真家で、ミュージック・ヴィデオ制作も手がけており、ミュージシャンたちからの信頼も厚い人です。Info-base でも取り上げられていましたが、作品はイギリスのロックバンド、ジョイ・ディヴィジョンのヴォーカリストで若くして命を絶ったイアン・カーティスを描いたもので、個人的にも気になる映画です。


全体として、今回は重い内容の作品が賞に選ばれていたように思います。ここ数年は同じような傾向が続いていますが、そうなるとタランティーノの Death Proof みたいな「新しいスプラッター映画」(と監督がこの作品を説明していた)や、Les chansons d'amour や My blueberry nights のようなロマンティックな恋愛ものなどエンタテインメント性の強い作品は不利になってしまうのが残念。特にコーエン兄弟の作品は下馬評が相当高かったにもかかわらず、無冠に終わってしまいました。これは周囲も予期せぬことだったようで、カンヌ関係の掲示板では「なぜ?」という不満の声が多く聞かれました。


受賞作品以外にも、色々面白そうな映画がありました。長くなってきたので、続きは次回に・・


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2007年05月13日

今年のカンヌの審査員

Maggie_Cheung.jpgいよいよ第60回カンヌ映画祭開幕が3日後に迫ってきました。前のエントリーではコンペ作品について触れたので、今日は審査員をご紹介します。毎回さまざまな地域からさまざまなタイプの審査員が選ばれていますが、前回お伝えしたように、今年の審査委員長にはスティーヴン・フリアーズが選ばれ、その他映画関係者ら8人とともに審査をすることになっています。

今回の審査員は、監督ーマルコ・ベロッキオ(イタリア)、アブデラマン・シサコ(モーリタニア)、俳優ーマギー・チャン(香港)、トニ・コレット(オーストラリア)、監督兼俳優ーマリア・デ・メデイロス(ポルトガル)、サラ・ポーリー(カナダ)、ミシェル・ピコリ(フランス)です。

今年は、審査員に俳優の占める割合が高く、監督業も行う俳優が3人いるのが特徴的ですね。また、カンヌでは文学者が審査に加わることも多く、今回もトルコからノーベル賞受賞作家オルハン・パムクが招かれています。


s_polley.jpg今回の審査員は、日本でも知られている映画人が多いようです。マギー・チャン(写真上)はウォン・カーウァイの「花様年華」にも主演した、香港を代表する女優ですね。彼女は一時期フランス人監督オリヴィエ・アサイヤスと結婚しており、彼の監督した映画でカンヌの主演女優賞も獲得したということもあり、フランスでも馴染み深いアジア女優といえます。

トニ・コレットは、「リトル・ミス・サンシャイン」や「イン・ハー・シューズ」に出演した女優さん、といったらピンとくる人も多いのではないでしょうか。

また「死ぬまでにしたい10のこと」に主演したサラ・ポーリー(写真中)は、28歳の若さで出演作はテレビドラマを含めて50本を超え、自ら6作品を監督、脚本も手がけるという才能の持ち主です。



piccoli.jpgそして嬉しいのはフランス俳優の大御所ミシェル・ピコリ(写真下)の名前があること。彼は1940年代後半から映画界にたずさわり、ジャン・ルノワールやルネ・クレールといったフランス映画界の巨匠から、ヌーヴェル・ヴァーグの監督たち、近年の若手らと幅広く活動してきた俳優で、かつてご紹介した 「ロシュフォールの恋人たち」「汚れた血」にも出演しています。

フランス以外の監督たちとの仕事も多く、特にスペインのルイス・ブニュエル監督の作品に多く出演し、「小間使いの日記」「自由の幻想」「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」といった数々の問題作で独特の存在感を示しています。


このように個性的なメンツが揃った審査委員会が選ぶのはどんな作品か、とても楽しみですね。


このほか短編映画、「ある視点」部門、「カメラ・ドール」の審査委員会もあります。短編映画の審査委員長は、ヨーロッパでの評価が高く、以前 「青の稲妻」をご紹介した中国の監督ジャ・ジャンクー。審査員のなかには、フランスの作家で日本でも作品が多数翻訳されているル・クレジオの名前も見えます。

また「ある視点」部門はフランスの監督パスカル・フェラン、「カメラ・ドール」はロシアの監督パーヴェル・ルンギンが審査委員長をつとめます。「カメラ・ドール」は新人監督の作品に与えられる賞なので、先日 INFO BASE でお伝えした松本人志監督の「大日本人」 もこの賞の対象作品になります。内容がほとんどわからない( C'est un film sur les relations humaines 「人間関係についての映画である」という説明がされていましたが・・)のですが、彼の時にベタで時にシュールな感覚がフランスでどう受け取られるのか? もしかしたら閉会式に松ちゃんの姿が見られるかもしれませんね。


カンヌ映画祭公式サイト



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2007年04月27日

第60回カンヌ映画祭

Cannes07.jpg今年もまたカンヌ映画祭の季節になりました。5月16日の開会式を前に、招待者や出品作品がだんだんと発表されてきています。



まず、今回のコンペティション部門の審査委員長はイギリス人監督のスティーヴン・フリアーズ(写真中)。日本では現在、彼の「クイーン」が上映中です。ダイアナ元皇太子妃が事故死した後のエリザベス女王の苦悩を描いたこの作品は高い評価を受け、エリザベス女王を演じたヘレン・ミレンはアカデミー賞主演女優賞をはじめ、数々の賞を受賞しました。この映画によって日本での彼の知名度も上がったでしょうが、彼の監督歴は1985年からスタートしており、今やベテランの域に達しています。コインランドリーを経営するゲイのパキスタン人青年を描いたデビュー作「マイ・ビューティフル・ランドレット」や、実在した劇作家ジョー・オートンを扱った「プリック・アップ」(1987)など彼は初期から面白い作品を作っていました。ダニエル・デイ・ルイスやゲイリー・オールドマンなどのイギリスの個性的な俳優を、彼の作品を通して知ったものです。また彼はラクロの『危険な関係』の映画化(1988)も手がけました(原作に忠実な作りでしたが、キャスティングに少々問題があったような・・)。


stephen-frears.jpg今年のコンペティションの候補作品は22作品で、常連の名前も多く見られます。有名どころでは、まずコーエン兄弟、クエンティン・タランティーノ、ガス・ヴァン・サントらのアメリカ勢。久々デヴィッド・フィンチャー監督(「セブン」「パニック・ルーム」の監督)も登場。実在の連続殺人犯を取り上げた作品 Zodiac (主演ジェイク・ギレンホール)が出品されます。またこちらも久々のタランティーノ作品 Death Proof は、同じ題材(SFホラー)をロバート・ロドリゲスと2タイプの作品に仕立てた映画 Grindhouse のうちの、自分のヴァージョンのようです。ロドリゲスが前にカンヌに出品した「シン・シティ」でも「ゲスト監督」(ってどんな監督やねん)をしていたタランティーノ、仲良しなのね〜。最近は俳優業も忙しいタランティーノさん、最新作は三池崇史監督の「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」(すごいタイトルだ)で、こちらは秋に公開予定だそうです。


アメリカ作品と同じく、地元フランスの作品も5本(共同出品も含め)選ばれています。イラン出身のマルジャン・サトラピ、ラファエル・ナジャリ、クリストフ・オノレといった新人・若手の監督と、カトリーヌ・ブレイヤ、ジュリアン・シュナーベルら個性派の名前が見られ、注目が集まりそうです。


韓国からはキム・ギドクらの3作品がノミネートされ、「韓流」はいまだ強し。日本からは河瀬直美の「殯(もがり)の森」が候補になりました。その他エミール・クストリッツァやアレクサンドル・ソクーロフ、カルロス・レイガダス、データベースでもご紹介したウォン・カーウァイらも名を連ね、今年も興味深いメンツが揃いました。外国人俳優を初めて起用したカーウァイ監督、ノラ・ジョーンズ、ジュード・ロウ、ティム・ロス、ナタリー・ポートマン、エド・ハリス、、レイチェル・ワイズといった豪華キャストですが、あの木村拓哉もヘキエキしたという、彼独自の撮影スタイルはどう受け入れられたのでしょうか、出演者のインタビューが聞いてみたいですね。


コンペ外の作品に関しては、まずスティーヴン・ソダーバーグの「オーシャンズ13」のプレミア上映が挙げられるでしょう。ブラッド・ピット、ジョージ・クルーニー、ジュリア・ロバーツらの出演者がレッド・カーペットに現れる予定です。またアート志向の高い作品を集めた「ある視点」部門では、ジュリエット・ビノシュの紹介のもと、ホウ・シャオシェンの A la recherche du ballon rouge(「赤い風船を探して」仮タイトル)が上映されます。個人的に気になるのは、ファンであるジャン=ピエール・リモザン監督の Young Yakusa。Tokyo Eyesのほか、北野武のドキュメンタリー映画も手がけていて、日本との関わりも深い彼の新作は、やはり東京を舞台にしたドキュメンタリー作品のようです。


diane.jpg今年の開会式の司会はダイアン・クルーガー(写真下)。審査員などについてはまた次回お知らせいたしましょう。今から開幕が待ち遠しくてたまりません。


カンヌ映画祭公式サイト


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2007年04月12日

アート遠足 ー 養老天命反転地

yoro1.jpg家から日帰りで行ける範囲内には、面白い美術館や施設がいろいろあることを発見し、休みを利用して美術館に行く機会がこのごろ増えました。先日は、荒川修作がマドリン・ギンズと共同で設計した養老天命反転地(岐阜県養老郡養老町)へ行ってきました。


入り口ではヘルメットが貸し出され、「今日は風が強いので、足下にお気をつけ下さい」と注意書きがあるのに少々ビビりながら中へ入ってみると、カラフルな建物がまず現れます。「オフィス」とされているものの、内部は迷路のように区切られ、起伏が激しくデコボコした通路が広がっていて、いわゆる「オフィス」のイメージとはほど遠い作りになっています(写真上)。天井も同じような仕様になっているので、上下が逆さまになったかのような錯覚に陥ります。



yoro2.jpg「オフィス」を抜けると、またもや異様な光景が(写真中)。「極限で似るものの家」と名付けられたこの建物の内部は、人ひとりが入れるくらいの通路が交錯し、その通路を仕切る壁が、ところどころに置かれたソファーやガスレンジといった家具を分断しています。



さて圧巻はこちら(写真下)。楕円形にくりぬかれた土地に木々が植わり、日本地図だの屋根瓦だのが埋め込まれ、私たちはほとんどすべての部分を通ることができます。決まった順路も無いので、歩き方は自由。外側を、英語、中国語、フランス語、ドイツ語で表記された街路図が覆い、その外壁づたいに行けば、周囲の山並みも含めて壮大な風景を一望できます。



yoro3.jpgこの施設には平らな部分はほとんどといって無く、気をつけていないとよろめくし、転ぶし、不自然な姿勢を取らされるし、頭をぶつけることもあるし、全く「人にやさしくない」作りになっています。けれども、地を踏みしめて進んでいくうちに、普段使っていない筋肉の存在を感じたり、目や耳を使って周囲に注意を払ったりすることになり、生きている自分の肉体を実感することになります。


桜の花びら舞う心地よい天気のもとで、芸術作品を身をもって存分に体験することができた一日でした。自分の体力の無さも同時に痛感したけれど・・



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2007年03月09日

ドラマの中のフランス語

映画も好きですが、ドラマも好きです。新クールが来るたびに、何か面白いものはないかとあれこれ観ています。そして観ているドラマの中で、フランス語が出てきたりすると、職業柄でしょうかやっぱり反応してしまいます。そこで最近ドラマで耳にしたフランス語の話を3つほど。


1 
今期(1月から)の番組 「拝啓、父上様」(フジテレビ、木曜夜10時)。東京は神楽坂の料亭「坂下」で板前見習いをしている一平(二宮和也)が主人公です。第1回目の放送で、リンゴの山をひっくり返して困っている少女を一平が助けてやる場面があるのですが、そこで少女が発した最初の言葉が、

"Merci... merci beaucoup."

・・・意表をつかれました。


一平が話しかけると、内容は理解しているようなのに答えはすべてフランス語。行き先を訪ねられたら、"Au convini, là-bas." 「あそこのコンビニへ」(コンビニってそのまま convini(もしくは combini)なんだ〜)。この謎めいた少女に一平は一目惚れ・・


この黒木メイサ演ずるナオミは、ハーフの設定なのかと思っていたら、パティシエールになるべくパリへ留学するためにフランス語を勉強中で、月・水・金曜日はフランス語しか話さないと決めている、という女の子なのでした。一方で、パリが実際どこにあるかも知らない一平は、その後思いを募らせて、エッフェル塔とセーヌ河というえらくベタなパリを背景に、ナオミと板前の師匠竜さん(梅宮辰夫)がフランス語で語り合う・・というシュールな妄想まで繰り広げます。ステレオタイプな「フランス」が、あこがれのナオミさんを美化する小道具としてたびたび使われていて、そのフランスの扱われ方が何だか懐かしい。このドラマは倉本聰の脚本も冴えていて、キャストも魅力的で、ドラマとしても面白く、毎回楽しみにしています。



三谷幸喜の代表作 「王様のレストラン」。関西方面では今またまた再放送されていて、また観てしまってます。フレンチレストランが舞台なので、毎度料理関係のフランス語が飛び交っています。ところで私が好きな場面の1つに、西村雅彦演ずる元オーナーが、従業員たちに向かって、「ル、クリヨン、エーーロワーー!!」(「ロワーー!!」にすごいリキが入っている)と叫ぶシーンがあります。これを最初に聞いたとき、何だ何だと思ったんですが、よくよく考えてみたら、 Le client est roi. (お客様は王様だ)なのでした。このフレーズは実際に存在するものだそうで、日本語の「お客様は神様です」にあたる表現がフランスにもあるんですね〜。




今日たまたま「またも辞めたか亭主殿〜幕末の名奉行・小栗上野介〜」というNHKの8時の時代劇(これは5年前のドラマの再放送だそうで、今週と来週とにわたって放送予定)を観ていたら、フランス公使の役であのフローラン・ダバディーさんが出ていました。彼が侍たちにフランス語を教える場面もあって、ちょんまげ姿の人びとの前で発される本場のフランス語を聞くのも一興です。しかし、最も印象的だったのは、芸者さんに膝枕をしてもらいながらの一言、「ジュテームでござるよー」でした。



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2007年02月22日

小説バトン  exquise 編

Q1:今読みかけの本もしくは読もうと思っている本

高橋源一郎『ニッポンの小説』(文芸春秋)。平易なことばで書かれているが、日本文学の根本的な問題を取り上げた野心作。核心に迫るまで、かなり回り道しているような書き方なので、サスペンス小説を読んでいるようにも思える。

また年明けからロベール・サバティエのオリヴィエ・シリーズ(『文庫版 ラバ通りの人びと』『三つのミントキャンディー』『ソーグのひと夏』、以上福音館文庫)を読んでいた。両親を亡くしたオリヴィエ少年の成長物語。1930年代のフランスが舞台で、固有名詞がたくさんでてきてわからないところもあるけれど、当時の街や村、そこで暮らす人びとの描写が楽しい。このシリーズは本国では7冊出ているのだが、翻訳されているのは3作目までなので、この後原文で読もうか思案中。時間かかるだろうなあ・・


Q2:最後に買った本(既読、未読問わず)

ゾラ『パリの胃袋』(藤原書店)
食いしん坊なので、食べ物が出てくる小説に目がない。「色彩あざやか、匂いたちこめる食べ物小説」なんて帯に書いてあったら、どうしても手にとってしまう・・

秋山駿『私小説という人生』(新潮社)
上記の『ニッポンの小説』とともに、新聞の書評で取り上げられていた。近年明治文学(特に田山花袋)に興味を持っているので、実際の作品と並行して読んでみたい。


冥途―内田百けん集成〈3〉   ちくま文庫 放浪記 ナジャ


Q3:特別な思い入れのある本、心に残っている本5冊

「小説」の範囲で選びました。

1 内田百間『冥途・旅順入城式
現実なのか、夢なのか曖昧なままに展開する物語とともに、その独特の言語感覚に魅了され、大きな影響を受けた。

2 横光利一『機械
新しい小説を生み出そうと悪戦苦闘する姿が透けて見える作品。横光作品では、叙情的な「春は馬車に乗って」なども好きだ。

3 林芙美子『放浪記
単なる地方出の貧しい娘の心情吐露なのではなく、さまざまな形式の文章の断片から成り立つ斬新な構成の作品であり、都市文学として読んでも興味深い。

4 村上春樹『螢・納屋を焼く・その他の短編
それまでキザに思えて食わず嫌いだった作者に対する見解を180度変えてくれた『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』とともに、くり返し読んでいる作品。特に「納屋を焼く」と「めくらやなぎと眠る女」は定期的に読みたくなる。

5 アンドレ・ブルトン『ナジャ
こんな不思議な作品を今まで読んだことない!という新鮮な驚きを与えてくれた作品。パリの街がだんだん謎めいた姿に変貌していく。


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2007年02月08日

映画バトン exquise編

CFC時代に一度考えた映画バトンを再検討してみました。

Q1:過去、一番笑った映画は?

毎度笑わせてもらえるのは、「メリーに首ったけ」(1998、アメリカ)でおなじみのピーター&ボビー・ファレリー兄弟作品。一番好きなのは「ふたりにクギづけ 特別編」(2003)。かなりきわどい笑いだけれど。

Q2:過去、一番泣いた映画は?

おそらく「ベルリン・天使の詩」(ヴィム・ヴェンダース、1987、ドイツ)。ナゼ?と言われてもひとりでに涙が出てくるんだもん。ピーター・フォークを見ているだけで泣ける。


ざくろの色 ストレンジャー・ザン・パラダイス / ダウン・バイ・ロー : 2 in Pack ジャン・コクトー DVD-BOX (トールケース仕様)


Q3:心の中の5つの映画は?

好きな映画はたくさんあるので、5本にしぼるのはとても難しいですね・・

1 「オルフェ」(ジャン・コクトー、1950、フランス)

私を映画の世界に開眼させてくれた最初の作品。

2 「ミツバチのささやき」(ヴィクトル・エリセ、1973、スペイン)

もう何回観たかわからないほど好きな映画。あらゆる場面が好き。静けさの中にさまざまなことが詰まっている。サウンドトラックも秀逸。

3 「山の焚火」(フレディ・M・ムーラー、1985、スイス)

内容はかなりショッキングなのだが、大自然を背景にするとそれはひどく「自然」なことのように思えるのが不思議だ。DVD化希望!

4 「ストレンジャー・ザン・パラダイス」(ジム・ジャームッシュ、1984、アメリカ/西ドイツ)

私にとっての「青春映画」がこれ。この当時からやる気ない若者だったんです・・

5 「ざくろの色」(セルゲイ・パラジャーノフ、1971、ソ連)

西洋的なものと東洋的なものが混ざり合った美しい映像詩。夢のような映画。


Q4:観たい映画は?

菊地凛子さんのアカデミー賞ノミネートで話題になっている「バベル」(アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、2006、アメリカ)。好きな俳優であるケイト・ブランシェット、ガエル・ガルシア・ベルナルがダブル出演しているのも理由のひとつです。



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2007年01月26日

2006年の3点(小説編)

2006年度のベスト3シリーズ、最後は小説編です。相変わらず読書はもっぱら通勤電車の中なのでそれほど数は読めていませんが、去年は面白い本に結構出会えた1年でした。今回も何らかの形で昨年出版されたものに限って3点を挙げてみましょう。

わたしを離さないで1 カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』(土屋政雄訳、早川書房)

カズオ・イシグロの作品のなかでも力作といえるこの長編は昨年方々で話題になりました。現在とはそう遠く離れていないと思われる近未来を舞台に、何か不自然な雰囲気を漂わせながらも静かに物語は進行し、やがてその謎が解き明かされたときに、強い印象を我々のもとに残す、という構成にはうまいなあと感心させられます。最近は映画の脚本(ジェイムズ・アイヴォリー監督作「上海の伯爵夫人」が現在も公開中。真田広之も出演してます)なども手がけているイシグロ氏の活躍がこれからもますます期待されます。



昨日2 アゴタ・クリストフ『昨日』(堀茂樹訳、早川epi文庫)

アゴタ・クリストフの小説はいつも、余分なものが極力そぎ落とされ、素っ気ないほど単純な言葉で書かれていて、それだけに強く、重いものです。彼女の作品には、ハンガリー動乱の折にスイスへ亡命し、母国語ではないフランス語で文章を書くことになった自らの人生が大きく反映されており、この小説も祖国を去った少年の絶望的な恋愛が描かれています。彼女の作品は読むたびにつらく、やるせない気持ちになるとはいえ、現代文学において重要な位置を占めているといえるでしょう。機会があれば、ぜひフランス語で読んでいただきたい作家です。



光ってみえるもの、あれは3 川上弘美『光ってみえるもの、あれは』(中公文庫)

川上作品は好きなものと苦手なものとがあるのですが、これはかなり好きです。「早く大人になりたい」と願う「ふつう」の高校生と、その一風変わった家族と友人たちの物語。所々に色々な文学作品の一節が組み込まれていて、それがまた小説に効果的なアクセントを与えています。「青春小説」としてとても楽しく読めましたが、実際に青春を謳歌している大学生の人たちはこういう本を読んで、どういう感想を抱くのか聞いてみたいなー。



それにしても、どのジャンルのベスト3にも純粋なフランスものが出てこなかった・・反省反省。今年はもうちょっと勉強しよう。


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2007年01月12日

2006年の3点(音楽編)

去年は、ロックフェス出演者に関する情報が増える夏あたりから音楽熱が急速に高まり色々聴きました。ジャンルは全体を10とすると、ロック系3、クラブ系(主にダウンテンポ)3、ヒップホップ系3、その他1ぐらいの割合です。そのなかで昨年発売されたものに限ってアルバム3作品を選んでみました。


st.elsewhere.jpg1 Gnarls Barkley "St. Elsewhere"

シングル曲 "Crazy" はダウンロードのみでチャート1位を獲得したという、驚異的な記録を樹立。ロールシャッハテストみたいなアニメーションのプロモーション・ヴィデオも面白い。ヒップホップ、エレクトロニカ、ファンク、ソウルなどの要素が融合した、よくも悪くも「今」の音楽といえるでしょう。



garden.jpg2 Zero 7 "The Garden"

リラックスしたいときにぜひおすすめしたいダウンテンポ系のグループ。音は毒の抜けたエール、という感じです。これより以前に出た "Simple Things"、"When It Falls" といったアルバムと合わせてよく聴きました。気持ちよく脱力できます。


lemonade.jpg3 G.Love "Lemonade"

ブルースロックにラップのテイストが加わった G.ラヴの音楽は、ノリがよくて楽しい。とにかく音楽を生業とする喜びが全体から溢れ出ていて、元気がもらえます。去年発掘したヒップホップグループ、Blackalicious も参加していて、個人的にも嬉しい作品でした。


フランスものではやはりシャルロット・ゲンズブールの復活が印象的でした。エールのバックもぴったりだったし。そのエールも、今年新作が発表予定だそうで、今から楽しみです。


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2006年12月29日

2006年の3点(映画編)

早いもので、今回が今年最後のエントリーです。そこでこの年末年始の投稿数回では2006年のベスト3を考えてみたいと思います。といっても、今年は時間的な余裕にあまり恵まれず、映画も本も思うように楽しむことができませんでした(Pstさんには及ばないけれど、ワインだけは結構飲みました)。でも少ないなりに心に残るものはやっぱりいくつか出てきますね。このエントリーでは今年何らかの形で発表・発売されたものに絞って選んでみます。


broken-flowers-0.jpg1 ブロークン・フラワーズ(ジム・ジャームッシュ、アメリカ)
 
FBNでもご紹介した久々のジャームッシュの新作は、クールで、チャーミングで、そしてどこかヌケたところがホッとさせてくれる映画でした。殺伐とした内容の映画が多かった中、こういう作品が観られたことが嬉しい。もう一度観たいなあ。


iwojima3.jpg2 硫黄島からの手紙(クリント・イーストウッド、アメリカ)

前回ご紹介した「父親たちの星条旗」と二部作を成す作品で、ほとんどが日本人キャストなのですが、「父親〜」よりもイーストウッドらしさを感じました。戦争という重く深いテーマを、情に流されることなく、常にニュートラルな視線でドライに描ききる監督の力量が今回も遺憾なく発揮されています。渡辺謙をはじめ、俳優たちの演技にも誠実さが感じられます。


historyof.jpg3 ヒストリー・オブ・バイオレンス(デヴィッド・クローネンバーグ、アメリカ/カナダ)

昨年のカンヌ映画祭に出品されて高く評価されていた作品で、文字通り「暴力」がひとつの幸福な家庭を崩壊させる物語。「ロード・オブ・ザ・リング」のアラゴルン役だったヴィゴ・モーテンセンの新たな一面が見られます。悲惨な話なのに、どこか笑える要素も含まれている、不思議な味わいの映画です。


来年は、もう少し落ち着いて映画を観られたらなあと思っています。それにフランス映画ももっとご紹介できるようにならねば! それでは、皆様どうぞよいお年を。


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